Project/Area Number |
23KJ1732
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 47020:Pharmaceutical analytical chemistry and physicochemistry-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小柳出 麻衣 九州大学, 薬学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2025: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 腎不全 / 光学分割 / ヒドロキシアミノ酸 / 三次元HPLC |
Outline of Research at the Start |
腎不全マーカーとしての利用が期待されているD-Serは、健常人血中にも存在するため早期診断は困難であり、病態進行時のみ含量が上昇する新規マーカーの探索が切望されていた。本研究に先立ち行った予備試験結果からThr/aThr鏡像異性体に着目したが、従来法では選択性およびキラル分離能の不足により一斉分析が困難であった。そこで本研究ではLCを三次元化するとともに、独自開発した高分離能キラル固定相を用いることで微量血中ヒドロキシアミノ酸の高感度選択的分析を行う。また、本法をヒト腎不全検体や疾患モデルマウスに適用し、含量変動を解析することで新規マーカーの探索と生理的意義の解明を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
セリン・スレオニン・アロスレオニン鏡像異性体を対象とする三次元HPLC分析法の開発を行った。本三次元HPLCの構築にあたり、一次元目に逆相モード、二次元目に陰イオン交換モード、三次元目に光学分割を行うミックスモードカラムを装備した。使用するカラムを精査した後、各次元において移動相、分析温度、流速等の条件検討を行い、分析法を最適化した。続いて生体試料分析には事前予測不可能な多種多様の妨害成分とターゲットアミノ酸の共溶出が懸念されたため、ヒトおよびマウスの血漿・尿サンプルを分析し、分離を確認した。また、分析システムについてはバリデーション(定量性、感度、再現性、真度評価)を行い、本システムを用いてヒトおよびマウス血漿の高選択的な分析が可能であることを示した。生体試料への適用にあたり、健常人および腎不全患者の血漿試料を九州大学病院および大阪大学病院との共同研究により収集した。上記のヒト血漿試料を分析した結果、健常人と比較して腎不全検体では全対象アミノ酸のD体含量が高値を示した。また、推算糸球体濾過量(eGFR)の低下、即ち腎機能の低下に伴ってすべての対象アミノ酸で血中D体含量の増加が認められた。一方で、L-アミノ酸濃度に関しては、腎機能の変化との相関は認められなかった。上記の結果より、D-セリン、D-スレオニン、D-アロスレオニンは腎機能マーカーとしての利用が期待されることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年は、三次元HPLCの構築に際し使用するカラムを精査した後、各次元において移動相、分析温度、流速等の条件検討を行い、分析法の最適化を行うことで、セリン・スレオニン・アロスレオニン鏡像異性体を対象とする三次元HPLC分析法の開発を達成した。また、構築した分析システムについてはバリデーションを行い、定量性、感度、再現性、真度について良好な値が得られた。本分析法を用いて健常人および腎不全患者の血漿検体の多検体分析を達成し、セリン・スレオニン・アロスレオニン鏡像異性体のバイオマーカーとしての有用性を示した。 上記の結果は一年目および二年目において予定していたため、「当初の計画以上に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はヒト試料に関しても臨床検体数の拡大を目的とし、サンプル収集を行うほか、種々の原疾患を有する腎不全モデルマウスを作製する。ヒト臨床検体に関しては原疾患や推算糸球体濾過量、年齢や性別の異なる検体を数百検体程度収集し、検体数を拡大させた分析を行うほか、バイオマーカーとしての有用性を評価する。疾患モデルマウスに関しては体液および組織試料を採取し、分析を行うことで各種腎障害に伴うセリン・スレオニン・アロスレオニンのD体含量変化を解析する。
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