Project/Area Number |
23KJ1739
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 27040:Biofunction and bioprocess engineering-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内田 和希 九州大学, 工学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2025: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 細胞膜 / 脂質ラフト / 脂質化 / 人工脂質二分子膜 |
Outline of Research at the Start |
まず、SpyTag-SpyCatcherシステムと酵素触媒反応を融合した新規脂質修飾技術を利用し、人工脂質修飾タンパク質を調製する。この際、計算化学と機械学習を援用し、脂質修飾POIのラフト局在制御のた めの脂質分子の設計と、人工脂質二分子膜を用いた特定の脂質ドメインへの局在評価を行う。 次に、ウイルスの細胞への感染を阻害する医薬品の開発を目指した検討を行う。最後に、脂質修飾DNA切断酵素を設計し、小胞輸送を介した新たな遺伝子編集技術の確立を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
生物の最小単位である細胞は、細胞膜で囲われた小さな区画と見なすことができる。細胞膜上には、ラフトやその一形態であるカベオラと呼ばれる特定の脂質分子で構成される膜ドメインが存在することが知られている。ラフトへのタンパク質の局在は、細胞内外の物質輸送や情報伝達に重要な役割を担っており、その過程においてタンパク質の脂質修飾が関与している。本研究は、人工的な脂質修飾により目的タンパク質のラフト局在を制御することで、細胞膜上の特定部位でのタンパク質の機能発現と、細胞内への巨大タンパク質の送達技術の開拓の達成を目指している。 本研究の初年度であったR5年度は、ラフト局在を制御するための人工脂質修飾タンパク質の脂質部位の分子設計と脂質膜上での挙動に与える影響の評価を行った。異なる長さの飽和脂肪酸によって修飾された人工脂質修飾タンパク質を合成し、人工脂質二分子膜や生細胞を用いた評価を行った。人工脂質二分子を用いた検討から、人工脂質修飾タンパク質のラフト局在性が脂質部位の不飽和度に大きく依存していることや、脂質膜上での自由な分子拡散に適切なアルキル鎖長が存在することを見出した。さらに生細胞を用いた検討から、ラフト上で人工脂質修飾タンパク質が免疫賦活にシグナルに応答して効率的に機能発現するためには、適切なアルキル鎖長が存在することが示唆された。 以上の結果に関し、10件の学術集会・シンポジウムでの研究発表(内3件は国際学会)を行い、1件の学会賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、人工的な脂質修飾を利用して目的のタンパク質を細胞膜上の特定部位で制御し、タンパク質の機能発現や細胞内への巨大タンパク質の送達技術の開拓を目指している。R5年度では、ラフト局在を制御するための人工脂質修飾タンパク質の脂質部位の分子設計と脂質膜上での挙動に与える影響を評価した。特に、様々な種類の脂肪酸を対象としてラフト局在性を評価できたことは、当初の研究計画を達成できた重要な成果である。また、脂質膜上での脂質修飾タンパク質の動的な挙動を評価できたことは、この技術を工学応用する上で貴重な知見である。しかし、これらの評価は蛍光タンパク質をモデルとして行われ、実際の機能性タンパク質を対象とした評価に関しては今後の課題である。 以上のように研究計画に沿って実験を着実に進め、これらの結果に関して多数の学術集会やシンポジウムで発表できたことから、研究は順調に進展していると自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず、細胞膜上の特定ドメインでの目的タンパク質の機能発現を目指す。具体的には、ラフトドメイン上でシグナル伝達を媒介するタンパク質や、非ラフトドメイン上でウイルスの感染を抑制するタンパク質を用いて、細胞膜ドメイン上で人為的に機能化させる。 その後、従来細胞内への送達が困難とされていた巨大タンパク質を、ラフト/カベオラ依存的な小胞輸送によって細胞内送達し細胞質での機能発現を目指す。
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