An experimental study on the shear instability induced by the high-pressure transformation of mantle olivine leading to the deep-focus earthquakes
Project/Area Number |
23KJ1743
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 17040:Solid earth sciences-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
本田 陸人 九州大学, 理学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2025: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 深発地震 / 高温高圧実験 / 放射光その場観察 / アコースティックエミッション / オリビン‐スピネル相転移 / せん断不安定化 / 脆性塑性転移 / 放射光高速時分割測定 |
Outline of Research at the Start |
地球内部の深さ410-670kmのマントル遷移層まで沈み込んだプレート(スラブ)で起こる深発地震の原因は90年以上の謎だった。それを解き明かすべく、D111型高圧変形装置と8素子アコースティックエミッション測定、放射光その場観察を組み合わせた深発地震発生条件(10-25GPa)での直接的な変形‐相転移実験を行なう。これまでスラブの主要鉱物オリビンの20GPaでのリングウッダイトへの相転移による断層形成(せん断不安定化)条件を見出した。本研究では、より広い圧力(相転移メカニズム)・温度・歪量での実験からせん断不安定化条件を精査し、深発地震域全体を説明するせん断不安定化プロセスの解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、(1)オリビンの高圧相転移に誘起される深発地震発生メカニズムの解明、(2)準安定オリビン強度の直接測定、(3)断層挙動の高時空間分解能測定の3点を目的とした実験を行なった。(1)、(2)ではD111型高圧変形装置によりマントル遷移層から下部マントル最上部条件を、(3)ではD-DIA型高圧変形装置により脆性-塑性転移領域の条件を実現し、それぞれで一軸圧縮変形実験およびせん断変形実験を行なった。いずれにおいても、放射光その場観察と独自の多素子アコースティックエミッション(AE)測定を組み合わせて行ない、特に(3)ではSPring-8 BL05XUの100keV次世代挿入光源を利用したサブ秒高速時分割測定と、その手法開発も行なった。 (1)では、一軸圧縮変形場において、リングウッダイト安定領域(圧力17-22GPa)の比較的低温でのみ断層形成が起こり、ウォズレアイト安定領域(13-16GPa)では非地震性の安定すべりや均質変形のみが起こることがわかった。いずれも高圧相は母相オリビン粒内にナノ多結晶ラメラ(NPL)として生じ、その超塑性によって局所変形、不安定すべりが誘起されたと考えられる。また、ポストスピネル安定領域(25GPa)では均質変形が卓越し、これは下部マントルの非地震性のレオロジーと整合的である。加えて、類似条件でのせん断変形実験セルを開発し、実験を開始している。(2)では、準安定オリビンは従来考えられていたよりも硬いことがわかり、冷たいスラブコアへの応力集中を示唆する結果が得られた。(3)では、オリビンの局所変形は比較的低温でのみ卓越し、限定的な温度でのみ不安定化することを明らかにした。また、高速時分割測定によって、常温での脆性破壊に伴って起こる0.5-1.0sec間の応力降下を放射光測定から初めて捉えたほか、断層面応力マッピング測定などの手法開発も行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究(1)では、一軸圧縮変形場において特有にオリビンの高圧相が主にナノ多結晶ラメラとして生じることを、マントル遷移層から下部マントル最上部にわたる広い圧力範囲で明らかにし、それがせん断不安定化を誘起する温度圧力の制約ができつつある。せん断変形場の実現に向けたセル開発も試行錯誤ながら進行し、実際に放射光実験も遂行できている。研究(2)では、準安定オリビンの低温塑性変形強度を直接測定し、深発地震や深部スラブの挙動を考察する上で重要な低温スラブコアの強度を直接推定することができた。研究(3)では、これまでの100倍以上の時間分解能での放射光時分割測定が可能になるなど、大きな技術的進歩を生み出すことができている。また、SPring-8 大学院生提案型課題にも採択され(2023B0317, 2024A1629)、実験環境も整っている。このように、各研究において新規の成果や技術開発に成功しており、計画を円滑に遂行することもできているためである。これらの研究成果は国際学会を含む3つの学会で発表し、その一部を国際誌に論文投稿する準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究(1)については、一軸圧縮変形実験を引き続き行なうとともに、その微細組織や力学挙動と照らして、実験室スケールで実験的に明らかにしたプロセスが地球内部の歪速度や差応力場でも同様に働くかを、差応力場での相転移様式、相転移時の潜熱や変形時の摩擦熱などに注目して考察する。加えて、せん断変形実験によって大歪場を実現し、ミクロな局所変形からマクロな断層形成につながるプロセスをその場観察することを目指す。研究(2)については、準安定オリビンと、その高圧相、海洋底玄武岩や下部マントル鉱物などの強度と比較しつつ、スラブ断面の強度プロファイルを推定するとともに、深部スラブのレオロジー特性を考察する。研究(3)については、偏向電磁石光源を利用した実験から明らかにしたすべり不安定化温度圧力条件で、次世代挿入光源を利用した高速時分割測定、応力マッピング測定などを活用しつつ、高温高圧下で生じる断層運動を詳細に解析することを目指す。 これらの実験を円滑に遂行するためにも、引き続きSPring-8 大学院生提案型課題にも申請してビームタイムを確保する。また、研究(1)~(3)の内容について、適宜、国際誌への投稿準備を進めていく。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)