遺伝子搭載人工エクソソームの開発とゲノム編集によるがん免疫加速治療
Project/Area Number |
23KJ1759
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 47060:Clinical pharmacy-related
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岡見 和哉 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 人工エクソソーム / NADIA法 / 多価アルコール / colon26細胞 |
Outline of Research at the Start |
エクソソーム模倣脂質ナノ粒子調製法を応用することでエクソソームに含まれる糖脂質や膜タンパク質などの機能を解明し、より高度にエクソソームの機能を再現した人工エクソソームの開発を達成し均一かつ大量調製が可能な人工エクソソームの調製法の開発に着手する。さらに、人工エクソソームへ封入するpDNAとして標的遺伝子をHippo 経路のLats1/2 としたゲノム編集技術を導入しノックアウトによりマウス腫瘍モデル(Colon26 細胞)のがん免疫加速治療効果を評価することで新規モダリティとしての人工エクソソームの有用性を示す。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は結腸癌細胞における遺伝子発現効率と細胞内動態を解明するとともに健常マウスにおける遺伝子発現効率をイオン化脂質含有脂質ナノ粒子と比較し評価することを目的とし研究を実施した。まず、再現性が高く均一な人工エクソソームの調製方法の基盤構築として新規エタノール注入法の開発を行った。人工エクソソームとして核酸をカチオン性のタンパク質であるプロタミンで覆った構造をアニオン性脂質を含むエクソソームの主要な脂質で内包するという設計をした。従来のエタノール相へ脂質を、水相へ核酸を分散する方法では、人工エクソソームを調製する際に水相中で核酸とプロタミンの凝集が起こり均一性が低下する。そこでアルコール相へ多価アルコールと塩を添加することで脂質、タンパク質、核酸を同時に分散させ、極性溶媒で希釈することで自己会合によりナノ粒子を製造するNADIA(nucleic acids dilution-induced assembly)法を開発した。NADIA法により、調製される製剤の物理化学的性質、遺伝子発現効率の再現性が向上することを明らかとした(投稿中)。さらに、ヒト肝がん細胞(HepG2)細胞において高い遺伝子発現効率を示し、脂質ラフト介在性エンドサイトーシス及びマクロピノサイトーシスがその機序に寄与している可能性があることを明らかにしている。一方でマウス結腸がん(colon26)においては遺伝子発現効率が不十分であり、細胞取り込み及びエンドソーム脱出に課題があると考察している。そこでcolon26細胞へのアクティブターゲティング法としてRGDペプチド修飾とエンドソーム脱出能の向上のために炭酸カルシウム化を人工エクソソームへ行っている。既にRGD修飾及び炭酸カルシウム化に成功しており、マウス結腸がん細胞における遺伝子発現効率を評価中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は結腸癌細胞における遺伝子発現効率と細胞内動態を解明するとともに健常マウスにおける遺伝子発現効率をイオン化脂質含有脂質ナノ粒子と比較し評価することを目的とし研究を実施した。一方でマウス結腸がん(colon26)においては遺伝子発現効率が不十分であり、細胞取り込み及びエンドソーム脱出に課題があると考察している。そこでcolon26細胞へのアクティブターゲティング法としてRGDペプチド修飾とエンドソーム脱出能の向上のために炭酸カルシウム化を人工エクソソームへ行っている。既にRGD修飾及び炭酸カルシウム化に成功しており、マウス結腸がん細胞における遺伝子発現効率を評価中である。既に動物実験施設にてマウス結腸がん担がんモデルマウスによる評価を行うための申請と細胞検疫を終了しており、vitro評価(colon26細胞におけるRGD修飾炭酸カルシウム化人工エクソソームの遺伝子発現効率評価)の後、計画にある2024年度のvivo評価が可能である。また、2023年度に予定していた細胞内動態の解明について、実験方法の手技及び試薬は既に準備できており、遺伝子発現効率の高いRGD修飾炭酸カルシウム化人工エクソソームが見出された場合にはすぐさま評価可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
RGD修飾炭酸カルシウム化人工エクソソームについてcolon26細胞における高い遺伝子発現効率を示す組成を見出したが、プロタミンの過剰投与が原因とみられる細胞死が確認された。これは正常細胞に取り込まれた際に副作用などの原因となり得る。ここで遺伝子発現効率を細胞生存率のバランスの取れた適切なN/P ratio(プロタミンに含まれる窒素/plasmid DNAに含まれるリン)の探索を行い、安全かつ遺伝子発現効率の高い組成を見出す。ここで6種類の脂質、タンパク質、核酸、塩など複数のコンポーネントの最適な割合を見出すことは難しい。そこで実験計画法を活用し、効率的に安全かつ効率的な人工エクソソームの開発を行う。例えば、vitro(colon26細胞)においては機能として遺伝子発現効率を、安全性としてWST-8アッセイを行い、vivo(マウス結腸がん担がんモデルマウス)では機能として遺伝子発現効率を、安全性としてAST、ALTを特性値として実験計画法を実施する。その後、細胞取り込み阻害剤処理を含む細胞内動態評価(核: DAPI、plasmid DNA: Cy5, エンドソームリソソーム: LysoTracker)を共焦点レーザー顕微鏡により行い、人工エクソソームの遺伝子発現効率のメカニズムの解明を目指す。また、マウス結腸がん担がんモデルマウスにおける遺伝子発現評価を行い、生体内動態の評価と適切な投与量を見出す。その後、ゲノム編集plasmid DNAを内包した人工エクソソームをマウス結腸がん担がんモデルマウスへ投与し、腫瘍径、生存率からがん免疫加速治療評価を行うことで人工エクソソームの有用性を示す。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)