Project/Area Number |
23KJ1770
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 47040:Pharmacology-related
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
植田 恵梨香 熊本大学, 大学院薬学教育部, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2025: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 小脳 / 神経変性疾患 / オートファジー / アデノ随伴ウイルスベクター |
Outline of Research at the Start |
上記の目的のため、細胞の蛍光観察・脳切片の免疫組織学的解析・脳神経の初代及び切片培養・行動薬理学的解析などの実験手法を用い、以下の4点についての解析を行う。 ①天然物ライブラリーのスクリーニングによる新規CMA活性化化合物の探索 ②脳内移行性アデノ随伴ウイルスベクターを用いた神経細胞選択的CMA活性化法の確立 ③初代培養及び切片培養を用いたin vitro神経変性疾患モデルに対するCMA活性化の効果解析 ④In vivo神経変性疾患モデルに対するCMA活性化の予防・治療効果解析
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Outline of Annual Research Achievements |
脊髄小脳失調症(SCA)は顕性遺伝性の神経変性疾患であり、小脳の萎縮や進行性の運動機能障害を特徴するが、根本的な治療法は存在しない。SCAは原因遺伝子の違いにより、1-50に分類され、私たちはこれまでに、8種類の異なるSCAモデル細胞共通の表現型として、小脳プルキンエ細胞樹状突起の縮小が観察されることを明らかにした。また、細胞内タンパク質分解系であるオートファジーリソソーム系は神経細胞の機能の維持や生存に重要であり、経路の違いにより、マクロオートファジー、シャペロン介在性オートファジー(CMA)、ミクロオートファジ―(mA)の3つに分類される。我々は独自に開発したCMA/mAの活性評価法を用いて、SCAモデル細胞において、共通してCMA/mA活性が低下することを解明した。さらに、マウス脳内の神経細胞特異的にCMAの機能を低下させると運動機能障害などのSCAモデルマウスに類似する表現型が観察された。以上より、SCAに共通する発症分子機序として、CMA活性の低下を想定しており、化合物や遺伝子治療によるCMA活性化がSCA共通の発症予防法や治療法になると想定している。本研究では、CMA活性を上昇させる化合物の探索をヒト腎臓由来細胞株のAD293細胞を用いてスクリーニングを行い、ヒト神経由来細胞株であるSH-SY5Y細胞を用いて神経毒性についても評価した。その結果、CMAを活性化し、rotenoneに対する細胞保護効果を示す化合物としてellipticine及び新規合成した化合物の1つを同定した。さらに、マウスの脳内におけるCMA活性を上昇させる方法を遺伝子導入により確立しようと試み、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの静脈内投与によりLAMP2A遺伝子を神経細胞選択的に発現させることが可能なことを確認した。一方で、導入効率が低く、より効率的に遺伝子導入する方法の確立が望まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りスクリーニングによるCMA活性化化合物に成功した上、新規合成した化合物の中でCMA活性化能を持つものも同定できている。また、AAVベクターを用いた脳内遺伝子導入に関しても、効率の問題はあるものの、静脈注射による脳内遺伝子導入による神経細胞でのCMA活性化を誘導することに関する基礎的知見は得られている。これらを総合的に判断すると、本年度の計画としては概ね順調と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、静脈注射でAAVベクターを用いて、マウスに対するLAMP2A遺伝子を神経細胞選択的に発現させることが可能なことを確認した。しかし、遺伝子導入効率が悪いため、今後はAAVベクターの投与条件の再検討や別の投与方法を行う必要がある。近年、AAVベクターの経鼻投与による脳での遺伝子発現特性が明らかになっているため、次年度は、AAVベクターの経鼻投与がマウスの脳内においてLAMP2A遺伝子の効率的な導入が可能であるかの検討を行う。続いて、初代培養を用いたin vitroSCAモデル細胞に対するCMA活性化の効果解析を行う。様々なSCA原因タンパク質発現により初代培養小脳プルキンエ細胞で誘導される樹状突起縮小という表現型に対し、本年度同定した2種類のCMA活性化化合物やLAMP2A遺伝子導入によるCMA活性化が改善効果を示すかを検討する。そして、三年目にはin vivo神経変性疾患モデルに対するCMA活性化の予防・治療効果解析を行いたい。まずは、AAVベクター投与により作製可能なことを確立しているSCAモデルマウスに対するCMA活性化の効果を解析し、さらにはアルツハイマー病など別の神経変性疾患モデルマウスに対するCMA活性化の効果も解析していく予定である。
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