Project/Area Number |
23KJ1807
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 16010:Astronomy-related
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
宮本 明日香 東京都立大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2025: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | shock waves / stars / winds / Wolf-Rayet star |
Outline of Research at the Start |
大質量連星系では星風衝突による衝撃波が観測されている。しかし、プラズマ温度や密度といった物理量の、衝撃波に沿った分布は解明されていない。そこで、本研究ではプラズマ密度が一桁以上に亘って変化する大質量星連星系の星風衝突衝撃波を、異なる軌道位相で系統的に観測することで、衝撃波に沿った物理量の分布を、星風密度の関数として理解することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究対象である大質量連星系WR140において、XMM-Newton衛星のRGSが観測したデータを軌道約1周期分解析した。その結果、(1)O、NeのKX線及びFeのLX線を検出し、元素ごとの電離温度が全ての軌道周期(以下、phase)でほぼ一致するという結果を得た。また、視線速度の絶対値、速度分散はそれぞれ、O型星の内合に相当するphase にかけて最大及び最小となることが示された。このことからコーン状の衝撃波はO型星の方に向かって広がり、コーン上の軸対称な領域から輝線が放射されているという描像をX線で確認した。(2)また、2つの星からの星風の動圧のつり合いを解くことで衝撃波の形状を計算し、(3)その衝撃波に沿って流れるプラズマの流速、その視線速度、並びに速度分散を計算した。その理論値と観測値と比較することでO輝線放射領域の衝撃波面上での場所を特定すること成功した。その際に一部のphaseで観測された速度分散が計算値より大きいことがわかった。我々はこの原因が乱流に起因することを初めて突き止めた。(4)また、OのHe-like tripletの輝線強度比を用い、衝突電離平衡を仮定して密度診断を行った。競合する光励起も検討した結果、近星点から離れたphaseでは、プラズマの電子密度が10^12 cm^-3にも達することがわかった。これらの結果は論文にまとめており、1月に出版さ れている。 また、WR140での論文の共著者である研究者のもとで、WR140と同様に大質量連星系であるη Carinae(以下、η Car)の共同研究を行った。Chandra衛星のCCDを用いて観測された2つのphaseのデータを用い、η Carの中心X線源、その直近の領域、さらにその周囲のホムンクルス星雲の領域で分光解析を行った。現在、その結果を共同研究者とともに議論している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、WR140をXMM-Newton衛星のRGSが観測したデータを用いて分光解析が進み、論文にまとめることができている。また、年度中盤に共著者との共同研究の話が浮上し、年度末に実現した。これは当初今年度には予定していなかった研究であり、もともと予定していたWR140の研究成果を年度内にまとめられたということが、実現の大きな理由である。したがって、予定していた研究に加え、プラスアルファの研究を進めることができたという点で、当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
共著者と共同研究したη Carinaeという天体は、昨年9月に打ち上がった日本のX線分光撮像衛星XRISMでも観測される。そのデータを解析し、これまでの衛星からはわからなかった物理を突き止めたい。また、今年度頭にXRISMの公募観測にWR140で応募した。これが採択されれば、今年度末には観測データが入手できるため、その解析に力を入れたい。第一優先はこれらのXRISMのデータ解析であるが、他にもWR140のChandra衛星の分光データをつかい、これまでのXMM-Newton衛星のデータと合わせて結果の強化を試みたいと思う。
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