Project/Area Number |
23KJ1816
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
金箱 亜希 愛知県立大学, 人間発達学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | カリフォルニア州 / 読みの力を育成する指導法 / 教育長 / 教育政策 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、米国の中でも移民の多いカリフォルニア州で行われている英語及び継承語を通したリテラシー育成プログラムであるCELLの理論と実践に着目する。スペイン語および英語の文献調査と米国でのCELLプログラム実施校の現地調査を行い、CELLのカリキュラムや指導法とそれを支える家庭との連携を明らかにする。さらに、教員研修プログラムに焦点を合わせ、子どものリテラシーの習得を促す教師に求められる専門性をどのように研修していくのかを検討し、プログラムの全体像を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、カリフォルニア州のリテラシー育成プログラムを分析し、そのカリキュラムや指導法とそれを支える家庭との連携や教員研修を含めたプログラムの全体像を明らかにすることである。本年度は、特に1960~1980年代のカリフォルニア州における教育政策と読みの指導に関する議論や背景に焦点を当てた研究を行った。この研究では、歴史的資料や学術論文の分析を通じて、カリフォルニア州における多様な文化的・言語的背景のある子どもたちにリテラシーを育むカリキュラムや指導の枠組みを検討した。その結果、1960年代から1980年代の読みの指導法は、連邦政府と同様にフォニックスを含めた体系的・基礎的教育重視の読み指導法から子どもの多様な背景や文化、経験を重視した指導法へと転換をしていたことを明らかにした。他方で連邦政府の教育政策が州の教育政策に一方的に影響を与えるのではなく、教育長の既存の教育実践に対する疑念や進歩主義的な言語政策の推進のように、州の教育政策が連邦政府の政策を先導する形で進められることがあることも明らかになった。カリキュラムに関して、中産階級の文化的価値を重視したカリキュラムから子どもたちの文化や母語を尊重したカリキュラム、標準的な英語の獲得、多様な人間性や価値観を身につけさせる伝統的なカリキュラムへと変遷していたことを明らかにした。これについては、愛知県立大学大学院人間発達学研究科の研究紀要である『人間発達学研究』に投稿し採択されている。 また、1990年代のカリフォルニア州において開発されたリテラシープログラムについて、特に読みの指導法の側面に焦点を合わせて検討した。具体的には、カリフォルニア州の読みの教育の歴史的な展開や論争から導出された論点をもとに実践例を検討し、他の読みの指導の相違点及びプログラムの特徴を明らかにした。これについては、日本教育方法学会で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1960年代から1990年代にかけてのカリフォルニア州におけるリテラシー育成プログラムを分析し、読みの指導法を明らかにする研究計画を立案した。文献研究を通して、カリフォルニア州における読みの指導法を歴史的な展開や論争から検討し、論点を抽出し検討した。また、現地調査を通して、カリフォルニア州内の4校の小学校を対象に、多様な文化的・言語的背景のある子どもたちにリテラシーを育むカリキュラムや指導法に関する資料収集および参与観察を行った。さらに、リテラシー育成プログラム開発者へのインタビュー調査も実施した。これらを通して、プログラムにおける読みの指導は、子どもの言語発達やニーズに応じた多様な学習形態や指導が組織されていること、また異なる言語背景や能力を持つ子どもに対して長期にわたる要素や読書行動の発達を見越して教育課程や指導が構想されていたことが明らかになった。現在は、現地で収集した英語及びスペイン語の資料を分析する段階にいる。このプログラムは、スペイン語圏の国々やスペイン語でも展開されている。そのため、スペイン語でこのプログラムを実践した際に、子どもたちに保障する読みの要素や読書行動にどのような共通性や相違点があるのかを検討していく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、カリフォルニア州におけるリテラシー育成プログラムを理論的基盤とし、スペイン語で実践されているリテラシープログラムに焦点を当てて検討する。具体的には、チリにおけるリテラシープログラムを検討する。まず、チリにおける読みの教育の歴史的展開や論争を概観し、読みの指導の論点を抽出する。次に、カリフォルニア州のリテラシープログラムを採用するに至った背景や問題意識、学術的背景を検討する。さらに、プログラムの理論について、特に読みの指導法の側面に焦点を合わせて検討し、実践例をもとに指導の具体的な方法を明らかにする。そして、両言語において重視されている読みの指導における共通要素や相違点を明らかにする。最後に、研究成果を広く共有するために、学術誌での発表を行う。
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