Project/Area Number |
23KJ1819
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
曽村 みずき 京都市立芸術大学, 日本伝統音楽研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 楽譜 / 薩摩琵琶 / 筑前琵琶 / 近代琵琶楽 / 音楽分析 / 音楽理論 / 楽曲構造 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、明治期以降に発展した近代琵琶楽の音楽理論の体系化を試みるものである。薩摩琵琶・筑前琵琶を含む近代琵琶楽は、従来個別に研究が進められてきたため、各流派に共通した音楽理論の構築が不十分である。本研究では、近代琵琶楽の中心的な音楽要素である音楽構造と語り・琵琶の旋律に注目し、比較分析を通して種目全体の共通理論を把握したうえで、流派間での音楽上の影響関係を解明する。また、流派の音楽的特徴ともいえる、共通理論以外の流派独自の音楽様式を、複数の時期・演奏家の演奏内容から検討することで、近代琵琶楽の音楽様式がいかに変容してきたかを明らかにすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、薩摩琵琶・筑前琵琶を含む近代琵琶楽のレパートリーの全体像を把握するため、(1)琵琶歌本・弾法譜といった楽譜資料の調査・収集を中心に行い、(2)楽譜に記載される音楽情報のデータベース化を進めた。 (1)では主に、薩摩琵琶の錦心流と筑前琵琶の旭会について、楽譜資料の所蔵状況調査をふまえて資料の閲覧を行った。錦心流ではとりわけ、流派の定本ともいえる歌本『薩調四絃愛吟集』について、国立国会図書館所蔵や個人蔵の複数の版を調査し、初版以降に版を多数重ねてきただけでなく、度々収録内容を変更して出版されていた状況を確認できた。旭会では、単曲が収録される稽古本を中心とした歌本について、福岡県立図書館などの所蔵資料を調査した。とくに、大正期から昭和初期に刊行された稽古本は、発行者や収録内容、刊行時期などから大きく3分類でき、同名曲で詞章が共通するものでも細かい音楽情報に相違がある歌本もみられた。 (2)では、錦心流の歌本資料から楽曲構造にかんする情報を抽出して一覧にまとめ、楽曲の題材および音楽構造の観点から、レパートリーの分類を試みた。さらに、詞章に対して用いられる旋律パターンの情報についてもデータ入力を進め、次年度以降に取り組む音楽分析のための下地を作った。 本年度の研究成果の発表としては、錦心流における新流派創始に伴う既存の琵琶歌の使用と新作状況からレパートリーの変遷について考察し、2月に東洋音楽学会にて口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
楽譜を中心とした琵琶関連資料の調査にあたり、国内各地の機関に所蔵が確認できたため、資料調査に時間を要した一方で、レパートリー把握に必要な資料調査は大方終えることができた。また楽譜情報のデータベース化については、特定の流派のデータ入力に留まったものの、他流派の入力作業にも応用できるように方針を固めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
楽譜に記載される音楽情報のデータベース化作業は継続して行う。歌本の収録内容から得られたレパートリーのうち、既存の流派と曲名が共通する楽曲については、詞章内容の詳細な比較を行ったうえで異流派間でのレパートリーの共有の実態を明らかにする。またレパートリーの分類方法については、近代琵琶楽の各流派でも共有できるように再検討し、さらに分類結果をふまえて次年度以降に行う音楽分析の対象楽曲を選定する。そして、残された録音資料や演奏家への聞き取り調査から、楽譜情報からは得られない語り・琵琶の詳細な旋律の動きについて分析を進めていく。 また、琵琶にかんする音楽理論や演奏法、作曲法について演奏家によって記述された理論書や演奏指南書の精読を通して、上記の調査で得られた各流派の演奏実態を裏づける。
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