Project/Area Number |
23KJ1868
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 12010:Basic analysis-related
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
田中 洋平 学習院大学, 理学(系), 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 量子ウォーク / スペクトル流 / ユニタリ作用素の摂動論 / カイラル対称性 / 量子特異値変換 |
Outline of Research at the Start |
スペクトル流は多様体の指数研究の中でAtiyah-Patodi-Singerによって70年代に考案された. これは, 具体的には, 連続的に変化する固有値の"流れ"を定量的に定義する為に導入された整数値関数の事を指す. 当該研究では, スペクトル流をユニタリ作用素の散乱理論の設定で考察し, それを用いてスペクトル・シフト関数と呼ばれる不変量の非自明な分解を目指す. また, 最近注目を集めている量子ウォークと呼ばれるランダム・ウォークの量子版を具体例として考察し, 先述の分解定理の重要性を数理物理的な視点から探る事も目標とする.
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Outline of Annual Research Achievements |
【実績1】令和5年度の研究実施計画に記載した通り, ユニタリ作用素を直線で連続変形しようとすると, ユニタリ性は端点でしか保証されない. この技術的な問題は有限次元の設定においても未解決であり, 数値実験を通して問題解決の糸口を探るというアプローチを採用した. 当該年度は研究集会中に出会った他の研究者との議論などを通して, 量子ウォーク(以下QW)の分野で物理学者が用いる数値解析の手法について詳しく学ぶ機会を得た. そこから着想を得て, 1次元格子上で定義されるQWモデルの時間発展作用素をユニタリ行列で近似するSageMath(Pythonベースのソフトウェア)のコードを作成した.
【実績2】このコードを用いて幾つかの具体的なモデルの数値計算を行ったが, 当該年度中に【実績1】で触れた未解決問題は完全解決に至らなかった. 別のアプローチも同時に検証していた中, 最近注目を集めている量子特異値変換(以下QSVT)と呼ばれる既存の量子情報分野のアルゴリズムを統一する理論についての存在を知り, それを無限次元の枠組みまで一般化するというA. Suzuki氏(公立小松大学)とC. Kiumi氏(大阪大学)の共同研究についての情報を得た. QSVTではユニタリ行列の中にエルミート行列を埋め込むblock encodingと呼ばれる手法が用いられる. その無限次元版からAzamov氏のハミルトニアンに関する先行研究の拡張の端緒を掴む事をモチベーションにSuzuki氏, Kiumi氏両名と共同研究をはじめたところ, 幾つかの副産物を得ることができた. 例えば, カイラル対称性を持つユニタリ作用素に対して定義可能なある解析的指数を作用素の実部を用いて特徴づける手法(【講演1】の発表内容)を, QSVTの設定まで一般化する事などに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請書の研究計画では当該年度中に【実績1】で触れた問題の解決を目指していたが, 前述の通り完全解決には至らなかった. 具体的なモデルの数値計算などを進めるうちに, 当初は想定していなかった課題が幾つも浮き彫りになり, この未解決問題の難解さを改めて認識するに至った.
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度度は学会誌への発表は出来なかったが, 幾つかの部分的な結果と新しい知見を得ることができた. 例えば, 【実績2】で言及した未発表の結果を用いて既知のQWの指数理論(【講演2】の発表内容)と当該研究のスペクトル流に関する非自明な関連性を探るというアプローチは, 当初の研究計画には取り入れる事ができなかった重要な研究テーマと言える. 今後は【実績1】の未解決問題やこの新しいテーマなどを念頭に置いて研究を継続する方針である.
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