花粉症の発症機序の解析:顔面部リンパ組織とM細胞の関与
Project/Area Number |
23KJ1895
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 49070:Immunology-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大谷 祐貴 慶應義塾大学, 薬学研究科(芝共立), 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | M細胞 / 涙道関連リンパ組織 / 鼻咽頭関連リンパ組織 / 花粉症 / IgA |
Outline of Research at the Start |
花粉症は粘膜への抗原曝露後の過剰な免疫応答によって発症する。顔面部には、涙道関連リンパ組織(TALT)と鼻咽頭関連リンパ組織(NALT)が位置している。これらのリンパ濾胞を覆う上皮に存在するM細胞は抗原を免疫細胞に受け渡して免疫応答を誘導する。しかし、TALT/NALTにおける免疫応答やM細胞の研究は進んでおらず、花粉症との関連も不明である。 本研究では、花粉症モデルを用い、TALT/NALTにおける免疫応答を詳細に解析する。さらに、独自に確立したTALT/NALT M細胞欠損マウスを用いて「M細胞依存的なTALTとNALTへの花粉抗原取り込みが花粉症の発症に寄与する」という仮説を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
眼や鼻は生命活動に重要な感覚器官である一方、外界に向けた開口部であるため、花粉などのアレルゲンの侵入経路にもなっている。花粉症は粘膜への抗原曝露後の過剰な免疫応答によって引き起こされ、鼻炎や結膜炎を主症状とするアレルギー疾患である。 粘膜面での免疫応答は主に粘膜関連リンパ組織で誘導される。その中でも、眼と鼻の粘膜にはそれぞれ涙道関連リンパ組織(tear duct-associated lymphoid tissue: TALT)、鼻咽頭関連リンパ組織(nasopharynx-associated lymphoid tissue: NALT)が存在する。我々は両組織の上皮に、管腔から上皮下へ抗原を輸送するM細胞の存在を明らかにした。しかしながら、TALT/NALTにおける免疫応答やM細胞の研究は進んでおらず、花粉症との関連性も明らかになっていない。本研究では「花粉症の発症・増悪にM細胞が関与する」という仮説を立て、研究を遂行した。 我々はTNFファミリーのRANKLがTALT/NALT M細胞の分化促進因子であることを見出している。これを基にTALT/NALT特異的M細胞欠損マウスを作出の作出に成功している。これまでの解析で、このマウスでは胚中心応答などの免疫応答が減弱することを見出した。 抗原を点眼投与することで誘導したアレルギーモデルでは、アレルギー誘導性のTh2細胞やIgE陽性B細胞がTALT/NALTでアレルギー初期段階に増加していた。この結果はTALTとNALTで誘導された免疫細胞がアレルギーに関与する可能性を示唆している。また、このモデルをM細胞欠損マウスに用いた結果、アレルギー症状が対照群に比較して抑制された。以上の知見は、顔面部のM細胞の免疫学的な重要性を新たに見出したものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目標であった、M細胞欠損マウスにおける定常状態での解析結膜炎モデルの確立と、アレルギーモデルにおけるTALT/NALTの免疫応答の解析を実現している。それらにとどまらず、来年度に行う予定であったM細胞欠損マウスのアレルギー感受性の評価をすでに実施済みである。また、近年のアレルギー研究の進捗に伴って新たなメカニズムが同定されてきたこともあり、当初計画していた以上に広範で且つ深くメカニズムを追求している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、M細胞の欠損でアレルギー症状が抑制されることが明らかとなったが、その症状緩和にどのような細胞・分子が関与しているかは明らかになっていない。そこで、今後はSingle cell RNA-seqを行うことで網羅的に免疫細胞を解析し、M細胞欠損による影響を包括的に理解することを目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)