Project/Area Number |
23KJ1923
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 20010:Mechanics and mechatronics-related
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
鶴原 理司 芝浦工業大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 適応制御 / PE性 / 真値収束 / フルードパワーシステム / データ駆動型制御 / 忘却要素 / 入力制約 |
Outline of Research at the Start |
本研究ではフルードパワーシステムに対する汎用的かつ実用的に適用可能な適応制御系の探求を目的とする.特に,システムパラメータの真値収束性に着目し,容易にこれを達成する適応制御系の提案およびその条件を検討する.また,実用化を考慮するために,入出力制約の考慮に加えて,特性変化や外乱に対して高いロバスト性を持つ手法への拡張を行いより安全な制御系の構築を目指す.この検証として,人工筋や油圧ショベルにそれぞれ提案手法を応用し,有効性を評価する. 本研究の進展は,フルードパワーシステムだけでなく,多くの複雑な機械システムへの有用な知見の取得やAIの学習分野の発展に大きく寄与するものと期待できる.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,持続的励起(PE)性と呼ばれる,システム同定あるいは適応制御系における一般的な仮定を用いずに,システムパラメータの真値収束性や安定性を保証することで安全で実用性の高い制御系を提案し,フルードパワーシステム分野の応用における有効性と限界を検証することを目的としている.初年度は,1)パラメータ収束性をPE性なしに保証できる離散時間Concurrent Learning(CL)に基づく適応同定/制御手法と水圧人工筋への応用,2)CLの時変システムへの拡張,3)データ駆動型制御へのPE性の観点からの応用と入力制約の考慮,の3点を主に実施した. 1)では,人工筋システムを線形モデルで近似し,モデル化できない動特性が存在することを前提に制御系を設計することで,CLを応用することができ,一定の成果が得られた.2)では,PE性によらず過去データを効果的に忘却できるDirectional Forgetting(DF)とCLを組み合わせた手法を提案し,同定中にパラメータジャンプが存在する場合でも推定パラメータが真値へ収束することをシミュレーションにより確認した.3)では,代表的なデータ駆動型制御であるオンラインFRITに着目し,DFを始めとする様々な忘却手法を適用したロバスト制御器調整法の提案と比較を行った.さらに,水圧人工筋に対して適用し,事前実験データおよび負荷変化などに対してのロバスト性を評価することで,その有効性が示された.また,モデル予測制御系と組み合わせることで,入力制約を考慮した制御系の提案も行い,より実用的な制御手法に至った.データ駆動型制御を高精度化する場合でもPE性は重要な条件であり,その緩和は大きな課題であるが,その点に着眼した研究は少なく重要な成果と言える.以上の成果は,国内で2件の発表を行い,次年度に国内で1件,国際で3件の発表を予定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は,主に3点について研究を進めた.1) パラメータ収束性をPE性なしに保証できる離散時間CLに基づく適応同定/制御手法と水圧人工筋への応用については,当初の研究計画では人工筋の数学モデルであるBouc-Wenモデルに対して直接適用予定であった.しかし,モデル構造内に直接計測できない値が存在し,その値を推定値として置き換える必要がある場合には,安定条件を満足している場合でも適切な推定が実施できないことが明らかになった.そのため,人工筋の非線形性をモデル化できない動特性としてとらえ直し,CLに基づく制御系を設計することで高精度制御につながる知見が得られた.2) CLの時変システムへの拡張については,1)の課題が当初の予定から想定外の状況であったために,本来は次年度に実施する予定であった内容を一部前倒しで実施した.提案手法はPE性を要求せずに,パラメータジャンプに対してパラメータの真値収束を達成し,従来手法や一般的な指数忘却に基づく手法ではシステムが容易に不安定化してしまうことから,研究が進展したと言える.3) データ駆動型制御へのPE性の観点からの応用と制約条件の考慮については当初の計画には明示していなかったものであるが,PE性を大きなテーマとしている本課題と密接に関わっているものである.特に,本研究ではオンラインFRITに対し,2)で得られた知見を活用することで安全な制御系を提案した.さらに,モデル予測制御系と組み合わせることで入力制約を考慮した制御系の設計を達成した.これは当初,モデルベース制御手法にて実施する予定であったものであり,データ駆動型制御での達成はその結果につながる進展であると言える.以上のことから,課題1)ではやや進展が遅れているものの,2)および3)では当初の計画を上回る成果が出ており,総合的に概ね順調に進展していると評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は初年度の結果を踏まえて,主に,1) 離散時間Concurrent Learning(CL)に基づく適応同定/制御手法のロバスト化および水圧人工筋への応用,2) データ駆動型制御手法へのPE性の観点からの応用と事前実験データや設計パラメータによる効果の解析,3) MIMO系への拡張と建設機械への応用,についてそれぞれ実施予定である.1)では,モデル化できない動特性が存在する条件下における制御手法の安定性解析や,パラメータ制約,射影法などを導入したロバスト化を行うことで,より実用的な制御系を目指す.また,安定条件の見直しを行い,Bouc-Wenモデルなどの実際に適用が困難であったシステムに対して,CLが適用可能となる条件や手法について模索する.さらに,初年度の結果で得られた知見を活かし,CLに基づく適応制御系を内部ループとしてモデルマッチングを行い,外部ループにてモデル予測制御系を組み合わせることで入力制約とパラメータの収束性の両方を保証する制御系を検討する.2)では,各設計パラメータによる寄与度や初期値の値の影響について評価を行い,提案手法の設計法をより具体化するとともに,実機実験によりその効果を評価する.また,1)の手法と比較することで,モデルベース制御,データ駆動型制御,およびその融合における手法のメリット/デメリットを本研究課題の側面から評価する.3)では,1)および2)での結果をMIMO系へ拡張し,建設機械へと応用することでそれぞれの有効性を実機により評価することを目的とする.また,負荷変化や目標軌道,外乱を加えることでロバスト性についても議論する.これらの成果によって,最終年度の複合的な適応制御系の設計と解析につなげる予定である.
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