Project/Area Number |
23KJ1950
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 51030:Pathophysiologic neuroscience-related
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 由宇 東京女子医科大学, 医学(系), 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 睡眠障害 / 心的外傷後ストレス障害 / 恐怖条件づけ / 視床網様核 / 扁桃体基底外側核 / ユニット記録 |
Outline of Research at the Start |
心的外傷後ストレス障害 (PTSD) 患者の約70%は慢性不眠症などの睡眠障害を併発するが、PTSDにおける恐怖記憶の固定化と睡眠障害を直接結びつける神経回路機構は未解明である。そこで本研究では、適切な恐怖記憶の形成に重要な扁桃体基底外側核 (BLA) と、その投射先の1つであり睡眠を維持する役割と情報を選別する役割を併せ持つ視床網様核 (TRN) に着目する。BLA―TRN経路の活動を電気生理学的に記録し、恐怖条件づけ実験、光遺伝学的操作を組み合わせることで、PTSDにおける恐怖記憶の固定化と睡眠障害にBLA―TRN経路が重要であることを検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
心的外傷後ストレス障害 (PTSD) は、トラウマとなった出来事に関する苦痛な記憶が突然よみがえったり悪夢として反復したりする精神疾患である。PTSD患者は睡眠障害を併発することがあるが、PTSDにおける恐怖記憶と睡眠障害を直接結び付ける神経回路機構は未解明である。本研究では、適切な恐怖記憶の形成において重要な扁桃体基底外側核 (BLA)と、その投射先の一つであり睡眠の維持に寄与する紡錘波の生成において重要な視床網様核 (TRN) の関係に注目し、この神経回路機構を解明することを目的としている。 今年度は、PTSDのマウスモデルとして恐怖記憶の汎化を生じさせる文脈恐怖条件づけの実験系を確立した。マウスを新奇な環境Aに提示し、電気ショックを与えた後、1日後に別の新奇な環境Bで恐怖行動である凍結反応を調べた。この凍結反応の割合を、環境Aに再度提示した時の凍結反応の割合と比較することで、恐怖記憶の汎化を確認した。その結果、約半数のマウスで環境AおよびBにおいて同程度の凍結反応が観察されたことから、恐怖記憶の汎化が生じる実験系を確立することができたと結論付けられた。 次に、睡眠状態の定量を行うため、皮質脳波、呼吸シグナルを反映した嗅球局所場電位、筋電図、心電図の同時記録系を確立した。筋電図を用いて覚醒または睡眠を判定し、皮質脳波からはデルタ波のパワーを定量することでレム睡眠またはノンレム睡眠を判定した。また、テトロード電極によるユニット活動記録系を確立し、BLA及びTRNからの神経活動記録を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、PTSDのマウスモデルとして、恐怖反応学習の実験系を確立した。当初の計画では音に基づく恐怖学習である音恐怖条件づけの実験パラダイムを用いる予定であったが、より恐怖記憶を汎化させる条件として、環境に基づく恐怖学習である文脈恐怖条件づけに変更した。これに加えてマウスの系統を検討することで、恐怖記憶の汎化が生じる実験系を確立することができ、PTSDのモデルとすることができた。また、睡眠状態の定量に必要な自律神経反応の測定、及び個々の神経細胞の活動をとらえるユニット記録の同時記録系を確立することができた。以上のことから、おおむね順調に進展していると判断される。 一方で、BLAとTRNからの同時記録には至っておらず、得られたデータの解析についても次年度以降の課題となっている。この点において計画以上の進展は認められなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は自律神経反応の測定と神経活動の記録を行うにとどまったため、次年度以降は得られたデータを基に詳細な分析を行う予定である。文脈恐怖条件づけにより恐怖が汎化した個体のデータと汎化しなかった個体のデータを比較することで、恐怖記憶の汎化が生じる場合に睡眠パターンや神経活動パターンがどのように変化するかを調べる。特に、睡眠が頻繁に中断されるかどうか、睡眠脳波の一つである紡錘波の出現パターン、TRNの神経活動パターンなどに着目する。また、BLAとTRNからの同時記録系を確立することで、両者の活動相関について解析することを目指す。 上記の解析が終了後、変化した神経活動パターンを人為的に誘導または消去することにより、睡眠障害と恐怖記憶の汎化を操作できるかどうかを検証する。
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