Project/Area Number |
23KJ1985
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 45040:Ecology and environment-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
矢島 豪太 日本大学, 生物資源科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 自動撮影カメラ / イノシシ / 階層ベイズモデル |
Outline of Research at the Start |
野生動物は,食資源量の時空間的な変動に対して,繁殖パラメータの変化を通じて,長期的な個体群レベルでの応答を示すことがある.特にイノシシ類は,1腹産仔数が最大8頭と多く,幼獣生存率も資源の多寡によって大きく影響されるため,個体群レベルの応答が顕著な動物である.本研究では,申請者が開発した階層ベイズモデルで,房総半島のイノシシの幼獣の集団サイズを推定する.さらに,空間的な変動の大きい人為的な資源,および年変動を示す自然資源が産仔数に与える影響を,その相互作用も含めて定量化する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,(1)構築したモデル(イノシシ類の母親1頭が連れている幼獣数をバイアスなく推定する階層ベイズモデル)の性能を検証すること,(2)房総半島のイノシシ個体群に実際に適用し,空間的な変動の大きい人為的な資源および年変動を示す自然資源(ブナ科堅果類)が産仔数に与える影響を,その相互作用も含めて定量化することである.本年度ではまず,構築したモデルの頑健性をコンピュータシミュレーションで検証した.このモデルには,調査期間内に,集団内の個体が死亡または移出してはならない強い仮定がある.しかし,実際にはモデルを適用する期間(幼獣が出生し,ウリ模様が消える7ヶ月)に幼獣の死亡は十分に起こりえる.そこで,期間内の平均個体死亡率を変化させた仮想データでシミュレーションを行ったところ,15%程度であれば,死亡が起こらない状態と変わらないバイアス(±10%)で幼獣数を推定できることが分かった.構築したモデルは,現在設置している数(90台)であれば,1ヶ月間のデータでも十分な精度で推定を行えることが事前の研究で分かっている.このため,当初の予定より短い期間のデータで解析することで,信頼のできる推定値が得られると示唆された. 房総半島のイノシシ個体群へのモデルの適用に関しては,所属研究室のプロジェクトの一環として行っている千葉県房総半島での自動撮影カメラ調査及び,ブナ科堅果類(マテバシイとナラガシワ,コナラ)のコドラート調査を継続してデータを収集した.調査の結果,調査地では特にマテバシイの堅果数の年変動が大きく,その周期は2年であることが明らかになった.整理の完了した年のデータに関して,カメラ周辺の景観構造と変動の大きかったマテバシイを共変量として導入し,産仔数の推定を開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
房総半島で継続して行なっているフィールド調査及び,データの整理は順調に進んでいる.モデル性能の検証については,再度シミュレーションを行い,個体の死亡に推定精度がどの程度影響されるか明らかにできた.集団サイズが既知のイノシシに対する性能試験は準備段階であるが,当初の計画は着実に遂行されつつあるため「おおむね順調に進展している」と判断された.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,フィールド調査で得られたデータを整理し,土地利用などの人為資源の指標と堅果類などの自然資源の指標を階層ベイズモデルに組み込み,これらの変動がイノシシの産仔数に与える影響の定量化を行う.解析時には,現地の捕獲データから死亡率を推定することや,適用するデータの期間を当初より短くするなどして信頼できる推定値を得るための工夫をする.これらが順調に進んだ場合には,結果をまとめ学会発表及び論文出版を通じて成果を報告する予定である.
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