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Development of Innovative Evaluation Method for Insulating Materials by Visualization of Polarization Charge for the Realization of a Low-Carbon Society

Research Project

Project/Area Number 23KJ1993
Research Category

Grant-in-Aid for JSPS Fellows

Allocation TypeMulti-year Fund
Section国内
Review Section Basic Section 21050:Electric and electronic materials-related
Research InstitutionTokyo City University

Principal Investigator

遠藤 和樹  東京都市大学, 総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2023-04-25 – 2025-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Keywordsパルス静電応力法 / 空気ギャップ / 分極電荷 / 直流電圧 / 誘電率 / 部分放電
Outline of Research at the Start

近年、電気絶縁分野では標準的計測法であるパルス静電応力法を用いた、絶縁性能評価が世界中で行われている。通常、本手法では測定試料を電極間に挟み込んで電圧を印加する為、試料内平均電界は一定値となるが、高温・高電界環境で使用される絶縁材料では直流課電中に試料内平均電界が変化するといった誘電率変化を示唆するような現象が生じ、正確な絶縁性能評価を行う上で大きな課題となっている。誘電率は交流課電時に評価されている物理量であり、直流課電時の評価に用いる事が適切であるか検証を行う必要がある。そこで、本研究では直流課電下における誘電率評価方法を確立し、誘電率変化が伴う材料に対する絶縁性能評価方法を提案する。

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、直流電圧下における誘電率を定義し、高温高電界下で動作する電気機器に使用される絶縁材料の絶縁性能評価技術向上を目指している。現在、直流電圧下での誘電率評価方法が定義されていないため、本研究ではパルス静電応力法(PEA法)を応用し、計測系に空気ギャップを設けた新たな計測法を開発することで、分極電荷を直接観測し、直流電圧下での誘電率評価手法の確立を目指す。
2023年度は提案手法が誘電率評価に適用できるかを検証するため、比誘電率が異なる材料(ポリエチレンテレフタレート(PET/比誘電率3.0)、ポリイミド(誘電率3.4)、エポキシ樹脂(比誘電率4.0))を計測し、比誘電率と検出信号の関係を検証した。その結果、各試料-空気界面において電荷信号が観測され、この信号の極性は双極子分極の理論と一致した。また、各試料で実測された電荷量を比較すると、ポリイミドはPETの1.2倍、エポキシ樹脂は1.4倍となり、分極電荷量の理論式に既報値の比誘電率を代入した場合の大小関係と一致した。これにより、提案手法を用いて分極電荷を計測することで誘電率を評価できる可能性が示唆された。
さらに、印加電界を高めると、空気ギャップに印加される電界が空気の絶縁破壊電界に達し、放電が生じた。この放電によって空気中で電子や正イオンが電界方向に移動し、試料表面に蓄積された場合、提案手法で検出可能となる。実際、正極性の高電圧を印加すると同界面には正電荷が、負電圧を印加すると負電荷が観測された。この結果は放電時の電荷挙動モデルと一致しており、提案手法を用いて部分放電も検出できる可能性が示唆された。この成果は本研究課題の申請時には予測していなかったものであり、PEA法の更なる応用拡大が期待される。
以上の結果から、本研究は提案手法を用いることで直流電圧下での誘電率評価手法の確立に向けて順調に進展していることが確認された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

申請当初の計画では、低誘電率材料から高誘電率材料までの様々な高分子材料を測定対象とし、室温下で分極電荷の計測を行い、観測される分極電荷量と材料の比誘電率の関係を明らかにすることで、本提案手法により直流電圧下での誘電率を定義可能であることを立証することが2023年度の目標であった。2023年度の研究成果として、従来のPEA法を応用することで、双極子分極の理論と一致した信号が検出され、直流電圧下での誘電率を評価可能である可能性を示唆することができた。
さらに、微小な分極電荷量を高精度に計測するために既存の空間電荷分布計測装置の改良も計画していた。本提案手法では試料と高電圧電極の間に空気ギャップを設けているため、このギャップ長の精度が測定精度に大きく影響を与える。したがって、計測装置の電極の平行度および高精度なギャップ長の制御が重要となり、これらを担保できる機構を考案する必要があった。2023年度には、空間電荷分布計測装置の設計、nmオーダーの分解能を有するギャップ長計測用のレーザー変位計の選定および調達、ギャップ長をサブミクロンオーダーで制御可能な光学ステージを選定した。
当初の計画では、2023年度中に装置作製を行う予定であったが、「研究実績の概要」で記述した通り、提案手法を用いることで分極電荷のみならず、空気ギャップ間での放電も検出できるという予測していなかった結果が得られた。この結果の妥当性を検証するための実験に時間を要したため、研究計画が遅れてしまったが、2023年度に選定・調達した構成要素を組み合わせた測定システムの構築を2024年度初期に行うことで本研究課題の目的は十分達成できると考えている。
以上の理由から、2023年度において、本研究は「おおむね順調に進展している」と判断した。

Strategy for Future Research Activity

提案手法を用いることで分極電荷を観測可能となることは明らかになったが、実測された分極電荷量が理論値と一致しない課題がある。実際、PET及びポリイミドでは理論値の1.6倍、エポキシ樹脂では1.4倍の電荷量が観測されている。この原因解明が今後の検討課題となる。提案手法ではギャップ長によって試料と空気ギャップとの電圧分担比が変化するため、このギャップ長の精度が測定精度に大きく影響を及ぼす。現状のギャップは厚み50ミクロンのリング状絶縁スペーサーを測定試料上方に設置し、その上に高電圧電極を配置することで形成している。したがって、電極の位置が5ミクロンのみ変位した場合でも測定誤差が10%にもなりうる。高電圧電極の平面粗さやスペーサーが高電圧電極で圧縮されることを考慮すると5ミクロン変位することは十分考えられる。そこで、次年度では以下の計画を推進する。
1. 電極素材の変更:電極素材をアルミニウムから石英ガラスにすることで平面度を担保する。
2. ギャップ形成の改善:高電圧電極をz軸光学ステージに固定することでスペーサーなしでギャップを形成する。
3. ギャップ長の精密計測:ギャップ長の計測にはnmレーザー変位計を採用し、電極及び変位計の傾き調整に8軸光学ステージを導入する。
これらの改良を加えた新たな計測装置を構築し、分極電荷量を計測して誘電率評価を行う。さらに、本研究結果の妥当性を検証するため、JIS規格に定められている誘電率測定方法(JIS C 2138)で計測した誘電率と比較検討を行う。
また、これまでのPEA法では分極電荷は計測できないとされていたため、新たな理論の構築を目的に分子動力学シミュレーションを用いて、電場中で発生する双極子モーメントを計算し、それに伴う圧力波発生モデルを考案する。以上の研究計画を遂行することで、本研究課題の目的である直流電圧下における誘電率の定義を目指す。

Report

(1 results)
  • 2023 Research-status Report
  • Research Products

    (2 results)

All 2024 2023

All Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] ギャップを有した空間電荷分布測定2024

    • Author(s)
      遠藤和樹,三宅弘晃,田中康寛
    • Organizer
      誘電・絶縁材料/放電・プラズマ・パルスパワー/高電圧合同研究会
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] Partial Discharge Detection by Space Charge Distribution Measurement2023

    • Author(s)
      Kazuki Endo, Hiroaki Miyake, Yasuhiro Tanaka
    • Organizer
      30th International Symposium on Discharges and Electrical Insulation in Vacuum
    • Related Report
      2023 Research-status Report
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2023-04-26   Modified: 2024-12-25  

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