コンクリート橋の予知保全型メンテナンスを実現するFRPシート補強システムの開発
Project/Area Number |
23KJ2027
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 22020:Structure engineering and earthquake engineering-related
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
尾崎 允彦 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | FRPシート / 既設コンクリート構造物 / 補強 / 剥離 / コンクリート表層 / 付着モデル |
Outline of Research at the Start |
持続可能なインフラを構築していくためには,時代ごとに変化する作用を柔軟に反映し,モニタリングと組み合わせて適切なタイミングで補強・再補強を行い,性能低下を予測・制御していく必要がある.本研究では損傷したコンクリート橋に対して予知保全型メンテナンスを実現するFRPシートを用いた補強システムを開発する.具体的には,構造物の損傷から事前性能評価を行い,その性能を基にコンクリート,樹脂,FRPシートの特性を反映した合理的な最適補強設計,さらに補強後の性能評価までをシームレスに行うシステムを構築する.
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,補強サイクルによって劇的にコンクリート構造物の寿命を延ばす予知保全型メンテナンスを実現させるための核となるFRPシート補強システムの開発を目的としている.当該年度は大きく分けて以下3つの研究項目を実施した. FRPシート補強は既設コンクリート構造物に対して行われるため,当該年度に劣化の著しいコンクリート構造物に対して実際の構造物の劣化状況の調査を実施した.この劣化状況をもとに,合理的な補強設計法の確立を行っていく. 要素レベルの検討として,FRPシートの剥離メカニズムの解明を行った.具体的には,FRPシートが剥離した後の状態を計測し分析することで,コンクリート表層の破壊が剥離耐力の決定に大きな影響を及ぼすことを明らかにした.この結果については論文で報告している.また,コンクリート表層に着目し,コンクリート表層の特性を明らかにするための実験も行った.実験ではコンクリート表層の特性を模したモルタル供試体を作製し,その曲げ試験行うことで基礎的な強度特性を明らかにし,その結果を報告している.さらに,温度が異なるフィールドでも適用できるように恒温槽を用いて温度条件を変えた試験を行い,その温度の影響も明らかにした.この実験より得られたコンクリート表層の特性を用いた有限要素解析のモデル化手法を新たに提案し,FRPシート剥離現象の解析的な再現に成功した.本解析を用いた要素レベルのパラメトリック解析を行い,FRPシートの終局剥離ひずみの予測式を提案し,その結果を論文として報告している. 部材レベルでの最適補強設計法の確立を行うにあたって,部材レベルに適用可能な付着モデルの構築を行った.本モデルはコンクリートの劣化状態や樹脂の材料特性,温度の影響を考慮できるモデルとなっており,数値解析でその妥当性についての確認も行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は大きく分けて3点の成果があり,当該研究課題の目的であるFRPシート補強システムの開発において大いに寄与すると考えられるため,このような自己点検による評価とした.具体的には実際の既設コンクリート構造物の調査を行い,その劣化状況を明らかにした.また,材料レベルの実験を行うことでコンクリート表層の特性を明らかにし,その特性を用いた新しい解析手法を提案した.そして,部材レベルに適用可能な付着モデルの構築を行った.このように,目的を達成するために必要な検討を進められており,概ね計画通りの進捗状況である.
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに開発した付着モデルを部材レベルに適用した場合には,鉄筋との相互作用とFRPシートの端部の定着が問題となる.部材レベルでの最適補強設計法の検討のために,この2点についての検討を行う.具体的には,コンクリート構造物への補強時にはコンクリート中に鉄筋が存在しているため,FRPシートによる補強を行った場合には,部材としては鉄筋とFRPシートが相互に作用することとなる.現在までは要素レベルの検討を中心に行っていたため,コンクリートとFRPシートのみに着目していた.今後は,これに鉄筋を加えた挙動についての検討を行っていく.また,FRPシートをコンクリート構造物に接着する場合にはその端部に定着を設けることがある.このため,部材への補強を考え,既存の実験結果と比較しながら,定着の合理的な評価方法の構築を試みる.以上の検討を踏まえ,最終的に事後性能評価を含めた最適補強設計法の確立を行う.
|
Report
(1 results)
Research Products
(4 results)