Project/Area Number |
23KJ2042
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 07050:Public economics and labor economics-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
北川 梨津 早稲田大学, 政治経済学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 人材採用 / 就職活動 / マッチング |
Outline of Research at the Start |
本研究は企業の人材採用活動と労働者の就職活動の意思決定を経済学的に解明することを目的とする. 多くの企業は自社にとって有益な人材を獲得するためにスクリーニングを行なっており,このために企業・候補者ともに小さくない費用を支払っている.しかし,どのようなスクリーニングが企業にとって望ましいか,またそのスクリーニングが社会全体にとって望ましいかに関する経済学的な研究の蓄積は少ない. 本研究は,企業のスクリーニングの基準と求職者の応募の意思決定を分析し,企業の採用活動の方針がどのように決定されるのかを明らかにした上で,その効率性や潜在的な改善方法を検討する.
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は主に次の3点に取り組んだ。 第一に、特別研究員採用以前に構築した理論モデルの一般化・拡張である。採用時点では比較的単純なトイモデルの段階であったが、当該年度では強い仮定をより現実的な仮定に修正したり、主体にさらに現実的な選択を許したりすることで、理論モデルの拡張を試みた。特に、これまでは雇用主側の候補者の能力やマッチクオリティの推論のみを考慮していたが、新たに候補者の自身の能力やマッチクオリティに関する推論を要素として追加することに取り組んだ。これにより候補者の応募の意思決定がより現実的なものとなり、企業側のスクリーニングの基準の決定もこれを考慮した水準に決定されることが予想される。ただし、拡張の作業について、解析的に解けるモデルの設定に試行錯誤しており、2024年度も引き続き取り組む。 第二に、人材採用に関する実証的な分析を行うための調査の実施である。(採用活動の表裏としての)就職活動における労働者の意思決定について実証的に分析するために、就職活動をしている大学生を対象に就職活動の状況や結果(加えて健康状態)についての独自のオンラインサーベイを実施した。求職者が人材採用プロセスにおいてどのような要素を(心理的な)費用として認識しているかを実証的に把握することができた。 第三に、ある大企業の社内公募制度データを含む人事データを利用した実証分析である。社内公募制度は社内において部署が社内の人材を採用するという状況になっており、人材採用の意思決定として分析することができる。人事データのクリーニングに取り組みつつ、いくつかの予備的な分析を済ませたところである。今後も当研究課題に理論的・実証的に取り組む予定である。 また、当研究課題に関連する人事経済学の研究にも精力的に取り組み、国内外の学会等で発表するなど、精力的に研究成果の発信に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論の拡張の作業について、解析的に解けるモデルの設定に試行錯誤しており、期待より進展がなかった。一方で、実証面においては独自のオンラインサーベイを実施し、求職者が人材採用プロセスにおいてどのような要素を費用として認識しているかを実証的に把握することができるなど、進展があった。総合して、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
理論の拡張の作業について、解析的に解けるモデルの設定に試行錯誤しており、今後は数値解析による分析に切り替えることを検討したい。実証については、今後はモデルの予測をより直接的に検証するために、オンラインのサーベイ実験などによって人材採用の場面を仮想的に再現し、パラメーターに応じてモデルの比較静学と整合的な行動が観察されるかを検証することなどを検討したい。
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