Project/Area Number |
23KJ2055
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
竹村 英子 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 骨格筋 / カルシウム / Stim1 / 老化 |
Outline of Research at the Start |
加齢による運動機能の低下のメカニズムを明らかにすることは、健康寿命を延ばすためにも重要な課題である。身体を動かす上で中心的な役割を果たす骨格筋は、小胞体内のカルシウムイオン(Ca2+)が細胞質に放出されることにより収縮する。特に、細胞外から細胞内へのCa2+流入を調節する機構(SOCE)は、骨格筋の収縮力の維持に関わっていると考えられている。しかし、加齢によるSOCEの変化および骨格筋の機能に対する影響は明らかになっていない。本研究では、老齢マウスを用いて骨格筋のSOCEや骨格筋の機能を解析し、加齢による筋力低下のメカニズムの一端を明らかにすることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
小胞体内のカルシウムイオン濃度低下に応答した細胞内へのカルシウムイオン流入は,Store-Operated Calcium Entry (SOCE)と呼ばれ,免疫細胞をはじめとする細胞の機能維持に重要な役割を果たす.SOCEは,小胞体膜上に存在するカルシウムセンサーStim1が,カルシウムイオン濃度の低下を感知し,細胞膜上に存在するOrai1と相互作用することで起こる.Stim1やOrai1に遺伝子変異が挿入されると,緩やかに筋力低下が進行する筋疾患が発症することが報告されており,筋機能とSOCEに密接な関わりがあると考えられている.また,骨格筋の収縮力や可塑性などの筋機能維持に関わることが報告されている.しかし,SOCEの変化がどのように筋機能に影響するのか,その詳細は不明なことが多い.本研究は,老化による筋力低下に着目し,SOCEと筋機能との関連を明らかにすることを目的とした. 本年度は,筋機能にSOCEが関係しているのかを調べるため,持久力や収縮速度の異なる速筋と遅筋でSOCEを比較した. 2ヶ月齢の野生型マウスから,速筋である長趾伸筋,足底筋と遅筋であるヒラメ筋を採取し,SOCE関連分子の発現とカルシウム動態を解析した. SOCEの動態は,長趾伸筋とヒラメ筋から単一筋線維を採取し,カルシウムインジケーターFluo-4を用いた.速筋と遅筋で,Stim1とOrai1の発現および,SOCEの動態に差が見られた.持久力や収縮速度の違いにSOCEが関わっている可能性を示唆する結果であり,さらに解析を進めていく. 初年度で,実験系の確立が進められたため,老齢マウスを用いて同様の解析を行い,老化による筋力低下とSOCEの関わりを明らかにしていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,実験系の確立に主眼を置き,若齢野生型マウスを用いて,収縮速度と持久力の異なる速筋と遅筋でSOCEを評価した.SOCEを担う分子であるStim1とOrai1について,RT-qPCRで遺伝子の,Western Blottingでタンパク質の発現を調べた. 遅筋でStim1とOrai1が,mRNAとタンパク質ともに高く発現していた.さらに,長趾伸筋とヒラメ筋から単一筋線維を採取し,SOCE動態を観察した.長趾伸筋とヒラメ筋でSOCEの速度やカルシウム流入量が異なることを示唆する結果が得られた.さらに,筋線維型によるSOCE動態の違いを解析するため,カルシウムイメージング後の筋線維型の解析系の確立を進めている. Stim1のWestern Blottingでは,骨格筋では複数のアイソフォームが発現していることを示す結果が得られた.現在,報告されているStim1のアイソフォームはStim1,Stim1L,Stim1A,Stim1Bの4種類であり,骨格筋ではStim1とStim1Lの発現が高く,Stim1AとStim1Bの発現は非常に低いとされている.しかしながら,マウスの筋芽細胞も用いた解析で,骨格筋で恒常的に発現しているStim1は少なくとも3種類はあることがわかった.筋芽細胞でも見られたStim1のアイソフォームの配列を解析し,すでに報告されているStim1アイソフォームと比較を進めている. 骨格筋におけるSOCEの生理的な役割を理解するため,骨格筋特異的にStim1を欠損するマウスの作製を進めている.The Jackson LaboratoryからStim1floxマウスを購入し,受入研究室が所有するMyoD-iCreマウスとの交配を進めている.まだ,Stim1欠損マウスは得られていないものの,順調にマウスの数が増えており,早いうちに実験が開始できる予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は,遅筋と速筋のSOCE動態を解析した.若齢の野生型マウスを用いることで,予定通りに実験系の構築を進められた.本年度の研究を通して,骨格筋にはすでに報告されている2種類に加えて,別のStim1アイソフォームが発現していることがわかってきた.骨格筋でのSOCEの機能について理解を深めるためにも,新たなStim1アイソフォームの同定とその機能の解析をする必要が生じている.研究計画に加えて,骨格筋に発現するStim1アイソフォームについても精査していく. 本研究の目的は,老化による筋力低下とSOCEとの関係を明らかにすることであり,24ヶ月齢の老齢マウスを用いることが不可欠である.令和6年度中に24ヶ月齢を迎えるマウスを十数匹飼育しており,老齢マウスを用いた実験を計画的に進めていく.初年度に確立した,SOCE関連分子の発現とSOCE動態の解析に加え,老化進行度の指標の評価と,持久筋力をはじめとした筋力測定系も加える予定である. さらに,骨格筋におけるSOCEの生理的な役割を理解するため,骨格筋特異的にStim1を欠損するマウスを作製し,解析する.初年度は,Stim1 floxマウスを購入し,受入研究室が所有するMyoD-iCreマウスと交配を進めた.体重,筋力や筋線維型などを基準としてコントロールマウスを検討してく.骨格筋特異的Stim1欠損マウスとコントロールマウスの2ヶ月齢,4ヶ月齢,6ヶ月齢,12ヶ月齢,24ヶ月齢の時点で,SOCEおよび,筋力や筋線維型をはじめとする包括的な筋機能解析を,令和6年度から順次実施していく予定である.
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