A Study of Upasanta's Apitanxin lun jing: Translation and Analysis
Project/Area Number |
23KJ2058
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 01020:Chinese philosophy, Indian philosophy and Buddhist philosophy-related
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Research Institution | International College for Postgraduate Buddhist Studies |
Principal Investigator |
藤本 庸裕 国際仏教学大学院大学, 仏教学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 説一切有部 / 有漏 / 無漏 / 『阿毘達磨大毘婆沙論』 / 『阿毘曇心論』 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、古代インド仏教の有力な学派である説一切有部の教義をまとめた綱要書の一つ、ウパシャーンタ(優波扇多、3世紀頃)の『阿毘曇心論経』の現代語訳と教理分析を行う。『阿毘曇心論経』はダルマシュリー(法勝)の『阿毘曇心論』(2世紀頃)、ダルマトラータ(法救)の『雑阿毘曇心論』(3、4世紀頃)とともに「心論系論書」と呼ばれる文献群を構成している。心論系論書は古代インドにおける説一切有部の中心地の一つ、ガンダーラ地方もしくはその周辺において作成されたと考えられることから、この『阿毘曇心論経』の研究を通して、思想的にも未解明な点が多いガンダーラ系有部の教義的特色について新たな知見を加えたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、『阿毘達磨大毘婆沙論』に説かれる有漏法と無漏法の諸定義を分析し、その成立過程を検討した。有漏の定義は説一切有部の論書における主要な論題の一つであるため、それぞれの文献における有漏の定義を比較することによって、文献相互の位置付けをより詳細に決定することが可能となる。この分析を通して、『阿毘達磨大毘婆沙論』に説かれる有漏法と無漏法の八つの定義の成立過程には少なくとも4段階が想定されることを明らかにした。 さらに、『阿毘曇心論経』の基本文献である『阿毘曇心論』における有漏の定義についても詳細な分析を行い、『阿毘達磨大毘婆沙論』に説かれる有漏法と無漏法の諸定義との比較を行った。『阿毘曇心論』における有漏の定義は『雑阿含経』「第56経」を背景としている可能性が高く、『阿毘達磨大毘婆沙論』における初期の有漏の定義と類似しているが、「漏」の語を導入する点でそれよりも教義上の進展を示していると考えられる。 また、これらの研究に関連して、説一切有部における動詞anu-si-の意味の変更についても調査を行った。動詞anu-si-は元来「付着する」という意味であったが、有部ではこれを「増大する」という意味で捉えるようになる。本研究では、この変更に有漏の定義が大きく関与していることを仮説として提示した。 こうした研究に加え、本年度は瑜伽行派の思想や玄奘三蔵の翻訳に関する英語の論文及び書評3本を日本語訳した。 以上の研究成果はそれぞれ公開予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
『阿毘曇心論経』は『阿毘曇心論』のみならず、『雑阿毘曇心論』や『倶舎論』とも類似する文章が多数あり、これらの文献も並行して読み進め、対応箇所の抽出を行っている。また、日本古写経や高麗版などの刊本大蔵経の諸本に基づいて中国語テキストの確認・校訂も同時に行っている。そのため、この文献の解読の作業に当初の想定以上に時間を要している。現在は、第1章「界品」と第4章「使品」の翻訳を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
『阿毘曇心論経』全10章のうち、申請者のこれまでの研究テーマと密接に関連している第1章「界品」、第4章「使品」、第5章「賢聖品」を中心にテキストの校訂と現代語訳の作成を行い、『阿毘曇心論』と『雑阿毘曇心論』及びその関連テキストと現代語訳を載せた詳細な対照表を作成する。 また、ヨーロッパにおける仏教研究の中心地の一つであるライプツィヒ大学でワークショップを開催し、海外の研究者と情報共有と意見交換を行うことを計画している。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)