Project/Area Number |
23KJ2074
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 90130:Medical systems-related
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
原田 裕生 同志社大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 非侵襲血糖値測定 / 高周波超音波 / 中赤外光 / 音響光学効果 / フィルムパッチセンサ |
Outline of Research at the Start |
糖尿病患者は日常的に自身の血糖値(血中グルコース値)を測定する必要があるが、現在は針を用いた採血法が主流であり、身体的苦痛や感染症リスクと隣合わせである。そこで本研究では、その負担を軽減するために、家庭内において非侵襲かつ時間連続的に血糖値を測定可能なフィルムパッチ型光音響センサを開発する。まず初めに、生体内への超音波照射に適したフィルム型高周波超音波トランスデューサを開発する。次に同トランスデューサと中赤外光源を用いた測定系を構築し、高周波超音波と中赤外光の間で生じる音響光学効果を利用した血糖値測定技術を確立する。そしてこれらの技術を応用し、フィルムパッチ型光音響血糖値センサへと展開する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず生体内に超音波音場を形成するための高周波強力超音波トランスデューサの開発を行った。圧電材料としては当初の研究計画通りに、水熱合成法によって成膜した高周波かつ強力な超音波を放射可能なKNbO3圧電材料を採用した。そして開発したKNbO3高周波強力トランスデューサを使用し、水槽内にて基本周波数付近である32MHzの条件でバースト波を送波し、ニードル型PVDFハイドロフォンを用いて受波することで、開発したトランスデューサの超音波送波特性の評価を行った。そして測定結果より、32MHzの超音波がトランスデューサから送波されていることが確認でき、高周波かつ強力な超音波を放射可能な超音波トランスデューサの開発に成功した。そして現在、上記の実験結果を通して得られた知見を活かして、フィルムパッチ型光音響センサの開発を実施している。また本研究を更に推進するために、高強度な中赤外光(9μm程度)を照射可能なQCLレーザを新たに購入し、現在、実験環境および光学測定系の構築を実施している状況である。 さらに開発した高周波強力超音波トランスデューサを用いて、より高周波かつ強力な超音波(周波数:160MHz)を水中に照射した際に、当初予期していなかった微小領域にて巨大な屈折率変化領域が形成される新現象を発見した。同現象について様々な光学的手法を用いて評価した結果、超音波照射によって水中に形成される屈折率変化(Δn)は10-2オーダーであり、水の屈折率(n=1.33)より小さい屈折率、すなわち空気の屈折率に近づくことがわかった。さらに屈折率変化領域の数理モデルを作成して光線追跡シミュレーションを行った結果、シミュレーション値と実験値が一致することが確認された。しかし、同現象の物理メカニズムについては不明点も多く、本研究の目標である非侵襲血糖値センサへの応用も含めて現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の第一目標であった生体内に超音波音場を形成するための高周波強力超音波トランスデューサの開発に成功した。また同トランスデューサについて、人体を水と想定し、水槽内での超音波送信特性の評価を行った結果、数10MHz帯域の高周波強力超音波が送波されていることを確認した。さらに超音波照射によって、水中に巨大な屈折率変化領域が形成される現象を新たに発見した。同現象は生体内に屈折率変化領域を形成できる可能性があり、またそれを静的かつ任意に制御することが可能である。そのため同現象を利用することで、当初計画していた中赤外光と高周波超音波の間で起こるブラッグ回折を用いずとも、生体内の任意位置からの光の反射・散乱光を高感度で取得し、血糖値測定に貢献できる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、新たに購入した中赤外光源(QCLレーザ)と高周波超音波との間で生じる音響光学効果を観測するための光学測定系を構築している。今後の研究方針としては、まず開発した高周波強力超音波トランスデューサと中赤外光源を用いたグルコース濃度同定実験を実施し、中赤外光と高周波超音波の間で生じる音響光学効果(ブラッグ反射)を用いた新たな血糖値測定手法に関する検証を行う。またそれと並行して、水中への高周波強力超音波照射によって形成される屈折率変化領域の物理メカニズムの解明に関しても調査を進める。
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