Project/Area Number |
23KJ2148
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 16010:Astronomy-related
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
日下部 晴香 国立天文台, 科学研究部, 研究員(若手研究者雇用特別研究員)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 銀河 / 形成初期 / 銀河進化 / 銀河周辺物質 / 面分光 |
Outline of Research at the Start |
近傍宇宙の極金属欠乏銀河は宇宙再電離の電離源である若い遠方銀河のアナログとして注目されている。本研究の目的は、近傍の極金属欠乏銀河の銀河周辺物質の構造、力学、電離状態の一般的な描像を初めて観測的に明らかにすることである。極金属欠乏銀河は一般に、1. 電離された銀河周辺物質であるHα ハローやHα フィラメントを持つのか、2. 銀河スケールのアウトフローを持つのか、3. 高い電離度の銀河周辺物質を持つのかを調べる。まずはサンプル約20天体を広視野面分光装置で観測し、そのデータを解析する。上記の課題1-3を1-3年目に順番に取り組み、成果は論文にまとめ、国際会議と年に2回の天文学会で発表をする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、形成初期銀河の銀河周辺物質の一般的な性質の解明を目的としている。一年目である2023年度は、(1) 面分光装置MUSEの観測提案の採択と観測の実現(約20天体)、(2) 取得したデータの整約、(3) 電離した銀河周辺物質をHαハローとして検出、を予定していた。(1)-(3)と追加で行った重要な課題(4)の進捗状況の詳細は下記の「進捗状況」の通りである。(1)のデータの取得では非常に順調な進展があり、高倍率にも関わらず観測提案が2本採択され18天体のデータを取得できた。(2)はトラブルや想定外の問題があり多少の遅れはあるがほとんどの天体の一次整約は完了している。(3)は(2)の遅れの影響でHαハローを持つ天体の割合を統計的に求めるところまでは終わらなかったが、Hαハローを持つ天体が見つかりつつあり成果が出てきている。また、本課題と密接に関わり、課題に取り組む中で追加で取り組むことにした(4)「遠方宇宙の形成初期銀河の金属汚染を受けた銀河周辺物質」の研究では、一階電離シリコンからの蛍光放射の空間的な広がり(SiII*ハロー)を世界で初めて検出した。この成果は、国内外の研究会で7件発表されており、欧州のAstronomy & Astrophysics誌へ論文を投稿するための最終調整中である。この他にも、今年度は受入研究室との共同研究の論文が多数論文誌に掲載され(査読つき5本、査読中1本)、国際共同研究の論文も5本査読付き論文誌に掲載され、研究会にも多数発表をした(7回)。また、2023年10月に海外からの研究者を招きGalaxy mini workshopをメインオーガナイザーとして開催し、2024年8月に予定されている第10回銀河進化研究会のSOCも務めるなど、天文学コミュニティー、銀河進化研究のコミュニティーへも貢献した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上述(1)-(4)の進捗状況は以下のとおりで、研究計画の変更や外的な要因にもよる多少の計画の遅れはあったが、(4)の成果も考慮すると研究計画を上回る進展があったと自負している。 (1) 私がPIとして提出した観測提案は2本とも採択され2023年に観測が行われた。天候や装置の都合もあり申請したすべての観測が行われたわけではないが、アーカイブも合わせて18 天体のデータを取得でき、非常に順調な進展があったといえる。(2) 4月から6月は共同研究のためにジュネーブ大学に滞在し、現地のサーバでデータの整約に必要な解析環境とストレージを整備した。共同研究者と整約の方針を決め、整約方法も習得した。また、本課題と密接に関わり非常に重要な研究課題(下記(4))に並行して取り組むことにした。帰国後は新しい観測データも順次加えて基礎的な整約を行った。ジュネーブ大学のサーバでトラブルがあったことから一時的に解析を停止したこともあった。観測時の天候が不安定であったためデータの品質が非一様で整約が予定より遅れてはいるが、ほとんどの天体の一次整約は完了している。(3)(2)の遅れの影響を受け計画に遅れはあるが、実際にHαハローを持つ候補天体が見つかってきている。(4)形成初期銀河の金属汚染を受けた銀河周辺物質は、本課題の水素ガス(Hαハロー)と並ぶ銀河周辺物質の重要な要素であり、その解明は本課題と密接に関わっており、銀河周辺物質の総合的な理解を助けるものである。これまでの国際共同研究の延長として、深いMUSE dataを用いて遠方銀河周囲で金属のハローを探査したところ、一階電離シリコンからの蛍光放射の空間的な広がり(SiII*ハロー)を世界で初めて検出した。本研究の論文はのAstronomy & Astrophysics誌に投稿するための最終調整中であり、研究会でも7件発表されている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のような状況から、2024年度はまず(2)と(3)の遅れを解消するつもりである。(2)で残されているのは、位置情報の更正に問題がある天体や、品質が非一様なデータの天体で、これらの整約を優先的に行う。また、暗い広がった輝線 (Hαハロー)をより正確に解析するためにbackgroundを丁寧に見積もる整約も行う。さらに今後のジュネーブ大学でのサーバのトラブルに備え、受入機関のNAOJにもストレージと解析環境の構築も可能であれば行いたい。上記の(3)において、Hαハローを同定するための統計的なテストを行い、haloを持つ天体の割合を求める。これらを終えたら、申請書にあるとおり「銀河スケールのアウトフローを持つのか」という力学診断を行う。より具体的には、Hα輝線の速度場合のマップを作成し、アウトフローを同定し、アウトフローの起源も議論する。銀河周辺物質のスケールまでHαの運動状態を調べられることから、SNの高い天体については力学質量が求まり、暗黒物質のハローに関する議論も可能となる見込みである。これらの結果を論文にまとめ、研究会でも発表を行う。2025年度の研究計画には今のところ変更の予定はない。
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