Microbial and chemical approaches to enhance nitrogen fixation by compost application in paddy fields with iron-rich soils in the tropics.
Project/Area Number |
23KJ2164
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 39020:Crop production science-related
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
岡本 卓哲 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 窒素固定 / 堆肥 / 水田土壌 / 酸化鉄 / 強風化土壌 / マダガスカル |
Outline of Research at the Start |
酸化鉄を多く含む強風化土壌が分布するアフリカでは、水稲収量が低い。そのような水田土壌では、堆肥の施用により炭素とリンが水田土壌に十分に供給されることで、鉄の酸化還元に関与する細菌による窒素固定が増強されると期待できる。本研究は、マダガスカルの水田を代表例とし、窒素固定とイネの生産性を向上させることを目的とし、実験室レベルで、堆肥施用により窒素固定が増加する土壌条件と、窒素固定を最大化できる堆肥組成を明らかにすることを目指す。さらにそれらを統合して、マダガスカルのイネ栽培系での窒素固定能の増強によるイネ増収効果の評価を現地で行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
養分供給力の低い強風化土壌が分布しているアフリカの中で、マダガスカルの水田に着目し、堆肥施用による水田土壌の窒素固定能の増強に向けた研究を進めた。 まず、マダガスカルの水田に生息する窒素固定細菌の群衆構造を明らかにするために、現地の水稲根圏土壌から採取されたDNAを用いて、窒素固定遺伝子を対象にしたアンプリコンシーケンス解析を行った。その結果、鉄還元細菌と鉄酸化細菌が高い相対存在量を示し、鉄の酸化還元に関わる細菌が窒素固定を担ってる可能性が示された。 次に、水田の窒素固定には遊離酸化鉄が影響しているとの仮説から、マダガスカルのおよそ350地点から採取された水田土壌の遊離酸化鉄含有量の測定を行った。その結果、マダガスカルは0.3-18%と幅広い遊離酸化鉄含有量を持つ水田土壌が分布していることが明らかになった。さらに、水田土壌での窒素固定細菌が用いる炭素やリンの供給源であると考えられる堆肥に着目した。マダガスカルの農家が作成した堆肥に含まれる植物由来炭素の組成分析を行った結果、リグニン、セルロース、ヘミセルロースの含有量の組成が堆肥間で大きく異なっていたことが明らかになった。デンプンを含んでいた堆肥も存在したことから、完熟堆肥のみならず、未熟堆肥が含まれた堆肥も農家が使っている可能性が示された。 今後は、鉄の酸化還元に関わる窒素固定に焦点を当て、遊離酸化鉄含有量や堆肥組成の異なる堆肥を用いて、マダガスカルの水田土壌の窒素固定能が増強される条件を明らかにすることを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたマダガスカルの350地点以上のから採取された水田土壌の遊離酸化鉄含有量(DCB抽出)の測定を行うことができた。その結果、マダガスカルの水田は0.3-18%と幅広い遊離酸化鉄含有量を持つ水田土壌が分布していることが明らかになった。それらの中から選抜した土壌の培養実験の結果、酸化的な条件では、遊離酸化鉄含量の高い土壌で窒素固定能が高かったため、当初想定していた酸化鉄含量が窒素固定に関わる可能性が示された。還元的な条件では、遊離酸化鉄の含量よりもむしろ、施肥した炭素やリンの量によって窒素固定能が影響を受けることが示された。 また、マダガスカルの農家が作成した50点の堆肥を入手し、堆肥に含まれる植物由来炭素の組成を分析を行うことができた。その結果、リグニン、セルロース、ヘミセルロースの含有量の組成が堆肥間で大きく異なっていたことが明らかになった。デンプンを含んでいた堆肥も存在したことから、完熟堆肥のみならず、未熟堆肥が含まれた堆肥も農家が使っている可能性が示された。 さらに、当初予定していなかった、マダガスカルの水田に生息する窒素固定細菌の群衆構造を明らかにすることができた。現地の水稲根圏土壌から採取されたDNAを用いて、窒素固定遺伝子を対象にしたアンプリコンシーケンス解析を行った結果、鉄還元細菌と鉄酸化細菌が高い相対存在量を示し、鉄の酸化還元に関わる細菌が窒素固定を担ってる可能性が示された。これは、マダガスカルの土壌が遊離酸化鉄含量が高いという特徴を反映していると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度、マダガスカルの水稲根圏土壌を用いて行ったアンプリコンシーケンス解析の結果、鉄還元細菌と鉄酸化細菌が高い相対存在量を示したことから、当初の想定通り、マダガスカルの水田の主要な窒素固定細菌は鉄還元細菌と鉄酸化細菌であると考え、鉄に着目した窒素固定の増強を目指す。 まず、窒素固定の増強効果の高い土壌成分と堆肥成分をより詳細に明らかにすることを目指す。土壌については、本年度行ったDCB抽出遊離酸化鉄含量のみならず、フェリハイドライトのようなより酸化還元の影響を受けやすい鉄画分の抽出を含め、選抜した土壌でより詳細な化学分析を行い、どの抽出区分が最も窒素固定に影響していそうであったか明らかにする。さらに、本年度に測定した堆肥のうち、含まれる植物由来炭素の組成が大きく異なるものを選抜し、土壌培養実験を行うことにより、リグニン、セルロース、ヘミセルロースのうち、どの植物由来炭素成分が窒素固定に重要であったかを明らかにする。その際に、遊離酸化鉄やフェリハイドライト等の鉄の含量が異なる土壌を用いることにより、鉄の酸化還元と炭素の分解の関係性を見出すことを目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)