Project/Area Number |
23KJ2230
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大矢 素子 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2023-07-03 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2026: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 身体論 / 音楽学 / 電子楽器 / 新教育 |
Outline of Research at the Start |
テクノロジーは,人の自己実現にどう関わり得るのか.本研究では,20世紀フランスの発明家・音楽家モリス・マルトノMaurice Martenot(1898~1980)の音楽や教育実践に着目し,テクノロジーと芸術表現の「ヒューマニズム」的接合が,20世紀においていかにして目指され,もたらされたのかを考察する.
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Outline of Annual Research Achievements |
20世紀フランスの発明家であり音楽家,モリス・マルトノの音楽や教育実践に着目し,同時代のテクノロジーと芸術の「ヒューマニズム」接合の様態を検証する端緒として,マルトノとロシア人チェリスト,ユーリ・ビリシチンとマルトノが協働で考案した「ルラクサシオン」とマルトノの電子楽器奏法がどのように関連しているのか,その具体相を明らかにすることを試みた.主に分析対象としたのは,マルトノが著した《オンド・ミュジカルのメソッド》(1931)と,ビリシチン及びマルトノが著した「ルラクサシオン」関連の書籍(Bilstin 1927, Martenot 1998)である.その結果,マルトノが電子楽器奏法を通して追及した身体の微細な知覚や漸次的運動のプロセスと,「ルラクサシオン」に示された諸感覚の鋭敏化や,それに基づく漸次的あるいは静止に近い身体運動のプロセスには密接な関連性があることが明らかになった.つまり,マルトノの電子楽器奏法は,当時の先端テクノロジーを介した身体の再認識を重要な目標として据えている.また,この漸次的知覚は,マルトノが開発した演奏のためのシステムである,「トゥッシュ」に多くを負っていると考えられる.そして,鋭敏化した知覚を通して自らの身体を再認識する手法は,同時代の身体論にも共通する特色であり,マルトノが芸術教育のために考案した「マルトノ・メソッド」における,「自由な表現」の基礎となることも考察された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでマルトノ関連の先行研究は,Vicic 1984やTchamkerten 2007など,もっぱらこの楽器のために書かれたレパートリーの分析や楽器の用例の整理,その音響の意味づけの検証を中心として行われていた.その中で,本研究は,マルトノの音楽教育や音楽実践に着目し,独自の「ルラクサシオン」思想が電子楽器奏法の記述と具体的にどう関連しているのかを明らかにした点で進捗を評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
マルトノの同時代の20世紀の身体論において,感覚の鋭敏化がなぜ着目されるようになったのか,同時代の芸術関連の教育論や,タリアフェロら20世紀に活躍した演奏家の「リラクゼーション」への評価も視野に入れながら検証したい.それと同時に,専門家の助言をもらい,身体とテクノロジーが演奏においてどう関連しているのか,マルトノの事例を中心として調査していきたい.
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