帝国日本のコロニアルアーカイブズと屑本アーカイブズの抗争と知の再構築に関する研究
Project/Area Number |
23KK0006
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (International Collaborative Research)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 2:Literature, linguistics, and related fields
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高 榮蘭 日本大学, 文理学部, 教授 (30579107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
逆井 聡人 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (50792404)
金 景彩 慶應義塾大学, 外国語教育研究センター(日吉), 助教 (50962437)
金 ヨンロン 大妻女子大学, 文学部, 講師 (60806595)
堀井 一摩 日本大学, 文理学部, 准教授 (70847467)
キム ウネ 明治学院大学, 国際平和研究所, 研究員 (70875799)
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Project Period (FY) |
2023-09-08 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥21,060,000 (Direct Cost: ¥16,200,000、Indirect Cost: ¥4,860,000)
Fiscal Year 2026: ¥7,540,000 (Direct Cost: ¥5,800,000、Indirect Cost: ¥1,740,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | コロニアルアーカイブズ / 検閲 / メディア / 植民地主義 / 在朝日本人 / 帝国大学 / 図書館 / 出版 |
Outline of Research at the Start |
帝国日本の時代をめぐる研究は、帝国の文書庫(Archives)によって支えられてきた。本研究は、この文書庫が日本の敗戦、引揚、占領により旧植民地や占領地に放置され、GHQによる日本占領の過程で欧米まで拡散されており、その全容が把握されていないことに注目したものである。本研究では、帝国日本の権力側が作った検閲資料を参照軸としながら,海外の共同研究者とともに、内地や朝鮮、台湾の支配権力の象徴である「コロニアルアーカイブズ」と帝国の文書庫への搬入が許されなかった抵抗運動の象徴である「屑本アーカイブズ」に日本帝国の旧支配地域からの視点を導入し、情報統制をめぐる攻防を再整理する。
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Outline of Annual Research Achievements |
帝国日本の時代をめぐる研究は、帝国の文書庫によって支えられてきた。本研究は、この文書庫が①日本の敗戦、引揚、占領により旧植民地や占領地に放置され、②GHQによる日本占領の過程で欧米まで拡散されており、その全容が把握されていないことに注目したものである。9月に採択されてから、アメリカのシカゴ大学と韓国のソウル大学、成均館大学、台湾国立政治大学の研究協力者たちと連携をとりながら、調査に関する役割分担を行ったうえで、研究活動の準備に入った。まずは、日本の出版現場の状況を把握することが大切だと思われたために、10月から11月まで、毎日新聞の鈴木英生、法政大学出版局の奥田のぞみ、元『週刊読書人』の白井魁、岩波書店の木村理恵子、クオン出版社の金承福、河出書房新社の藤崎寛之氏の連続講演会を企画した。2024年1月13日にはソウルの成均館大学で海外の協力関係者と非公開の研究会を行った。その成果は2024年5月11日の本研究プロジェクト開始記念の国際会議で発表する予定である。 金景彩は2023年度韓国文学決算会議で日本語と韓国語の文学テクストの移動について報告した。逆井聡人はライデン大学でのシンポジウムThird Session of the Owada Chairで報告し、帝国日本の植民地文化をめぐる検討や東アジアのポストコロニアル状況への考察がいまだに不十分であることを確認した。逆井と堀井一摩は韓国翰林大学の国際シンポジウム「東アジアにおける文化権力の対立と拮抗:和解のための模索」に参加し、コロニアルアーカイブに関するアイディアを発表している。逆井、金ヨンロンはカナダのUBCでRethinking Global Japanese Studies Symposiumで Global Japanese Studies in Japanというテーマで発表し、本研究の意義について報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2024年度は9月採択だったので、半年だけの活動になる。そのために、まずはそれぞれの地域に拡散している基礎的な資料集めと、研究成果の公開方法の模索、共同研究の基盤作りを行った。特に、日本語・中国語・韓国語・英語で研究発信を行うためにWebプラットフォーム構築に取り組んだ。共同研究者との定期的な会議を通じて、日本と海外の研究拠点を横断的に繋げられるWebプラットフォームの形式と内容、2024年末に発行予定のWebジャーナルの運営方針について話し合った。Webプラットフォーム準備は順調に進んでおり、2024年の夏までには公開の方向で調整している。韓国グループはソウル大学、韓国中央研究院、成均館大学が拠点に成る形で、朝鮮の植民地時代の在朝日本人、京城帝国大学、抵抗運動グループが作ったチラシなど関連資料の整理と調査に入っている。台湾グループは台湾総督府と検閲に関する資料のありかに関する調査をスタートさせている。シカゴ大学グループはシカゴ大学図書館だけではなく、北米に拡散している朝鮮半島、GHQ関連資料がどのようにアーカイブ化されているのかに関する調査を進めている。特に、シカゴ大学のKyeong-Hee Choi氏とは本研究プロジェクトが始動する直前である7月から8月に、シカゴ大学図書館の日本語と韓国語書籍担当の司書たちと連携しながら、調査を行っている。本研究プロジェクトがスタートしてからもZOOMを利用し、2回の研究会を行っている。2023年12月はKyeong-Hee Choi氏と高榮蘭は熊本県立図書館で朝鮮に進出した朝鮮総督府の通訳官・翻訳官たちに関する調査を行った。その成果は2024年5月、韓国成均館大学の国際会議で報告する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年に引き続き、朝鮮総督府の検閲資料をデジタル人文学の方法で研究している孫ソンジュン(成均館大学)、李載然(蔚山科学技術大学)と連携をとりながら、日本帝国の検閲資料のデータを集め、デジタル人文学の方法で分析を進める。鄭駿永(ソウル大学)張信(韓国中央研究員)と連携をとりながら京城帝国大学および在朝日本人に関する資料のアーカイブに関する調査を行う。逆井聡人と金ヨンロンは夏休みの期間中オーストラリアでGHQ関連の資料を調査する予定である。堀井一摩は日本国内にある関東大震災と文学の表象のアーカイブについて調査する。金ウネは沖縄公文書館、沖縄県立図書館にて琉球大学の学生運動に対する米軍占領政策関連の資料調査を行う。金景彩はアーカイブとジャンル横断的な文学テクストの移動について韓国で調査を行う。高榮蘭は2023年7月半ばから8月半ば(1ヶ月間)、シカゴ大学で図書館司書や連携研究者と合同で検閲資料の調査、共著の執筆を行う予定である。シカゴ大学に滞在期間中にデジタルヒューマニティーズ研究で名高いホイットロングとも研究方法についてアドバイスを得る予定である。金在湧氏をはじめ中国・日本・韓国・台湾の研究者と、帝国日本の植民地政策と文学・文化に関する国際会議を、2024年度4月済州島で行う予定である。本研究プロジェクトのメンバーと一緒に大きな国際会議を行う予定である。1回目は5月11日、韓国の成均館大学、2回目は2025年1月25日に日本大学文理学部(仮)で行い、2023年から2024年度までの研究成果を公開する。
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Report
(1 results)
Research Products
(18 results)