Regulating the mental world: A socio-cognitive approach to human executive function
Project/Area Number |
23KK0047
|
Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (International Collaborative Research)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 10:Psychology and related fields
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
齊藤 智 京都大学, 教育学研究科, 教授 (70253242)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳岡 開地 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (00938376)
坪見 博之 富山大学, 学術研究部人文科学系, 准教授 (70447986)
|
Project Period (FY) |
2023-09-08 – 2027-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥20,930,000 (Direct Cost: ¥16,100,000、Indirect Cost: ¥4,830,000)
Fiscal Year 2026: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
|
Keywords | 実行機能 / 共同認知 / 適応制御 / 共同課題パラダイム |
Outline of Research at the Start |
我々は、個人が自らの目標を持ちその目標に向かって自らの思考と行動を導いていると考えている。目標に合わせて自らの思考と行動を導く心の働きは、実行機能と呼ばれ、その働き方は個人の能力に基づくと考えられてきた。一方で、本研究は、実行機能の働きが経験によって変化することに加え、その動態が社会・文化的な影響を強く受けていることに注目し、実行機能の学習過程を捉えることで、社会的な文脈によって実行機能が形作られていくメカニズムを探る。国際共同研究チームによるマルチラボ共同実験を用い、社会文脈の異なる2国における検討に基づいて、社会構成主義的な実行機能理論を提案する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
実行機能とは、目標に適合するように自らの思考と行動を管理統制する心の制御機能であり、いわば「心の働きを制御する心の働き」である。たとえば、衝動的な行動の抑制、目標に関連する情報の更新、思考の切替などである。これらの実行機能の個人差や発達差は、行動の制御、感情の調整と関係を持つだけでなく、コミュニケーション、精神的健康、就業、学習活動など社会生活の様々な側面に大きな影響を持つと考えられ、そのため、国内外でその認知メカニズム、発達過程、および神経基盤の解明が破竹の勢いで進んでいる。実行機能は、個人が自らの目標に合わせて自らの思考と行動を導くための心の働きであるとされてきたこともあり、この機能の個人差は、個人の能力を反映しているという考え方が敷衍されている。しかし、近年の研究は、実行機能の課題成績が経験によって個人内で変化することに加え、その動態が社会・文化的な影響を強く受けていることを示してきた。本研究では、複数の人間が共同で1つの実行機能課題を遂行する「共同課題パラダイム」を考案し、さらに、実行機能の学習過程を捉えることで、社会的な文脈によって実行機能が形作られていくメカニズムを探る。社会文脈の異なる英国および日本において検討し、また、国際研究チームによるマルチラボ共同実験を用いることで、国際的に信頼される手順を踏んで実証的に検討していく。2023年度は、主として次年度以降に開始する実験に関する準備調整に注力した。国際共同研究の基盤となる枠組みの構築に時間を要することとなったが、最初の実験はすでに日本において実施されており、全体として、次年度以降の実験の本格的実施に向けて準備を整えることができている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、国際共同研究を通じて、社会構成主義的な実行機能理論を提案することを目的としている。実行機能研究は、近年に至り、2つの大きな理論的進展を迎えている。1つは、適応制御に基づく実行機能の個人内変容に関する研究に基づく進展であり、もう1つの進展は、実行機能への社会・文化的影響に関する研究に基づくものである。いずれも、経験や環境要因の実行機能への影響が、初期の実行機能研究において想定されていたよりも大きいことを示すとともに、実行機能がどのようにして立ち現れてくるのか、どのようなメカニズムによって実現されるのかについて、具体的な展望を示すものである。こうした研究動向を踏まえ、本研究では実行機能概念の起源を社会環境そのものに求めるという意味で「社会構成主義的な」実行機能理論の構築を目指している。 2023年度は、研究プロジェクト開始年度で、実質的には半年以下の期間で活動を行なった。2カ国をつないだ5回のオンラインミーティングに加え、個別のミーティングを随時行い、実験計画を洗練して行った。まず、知識の実行機能への影響を検討した先行研究、共同認知研究の動向、タスクスイッチングパラダイムを用いた研究の動向、適応制御研究の動向を共同研究者とともにレヴューし、本研究の目的に照らして最適となる実験課題を検討した。パラダイムを確定したのち、具体的な手続きの詳細を決めて、最初の実験を日本実施した。その中で新たな課題も見出され、実証研究のための準備は着実に進んでいる。一方で、英国の共同研究者3名の所属大学においては、それぞれの事情があり、予算の管理、リサーチアシスタントの位置付けや雇用、実験参加者のリクルートについて検討し実験の準備調整を行ってきた。本研究は、以上のように、研究計画に沿って順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度の早い段階で、代表者、分担者を含む、6人の共同研究者で集まり、グループミーティングを行って、プロジェクトの内容、役割分担、予算の使用方法等について、確認と調整を行う。あわせて、日本国内において、予備的な実験を実施し、海外研究拠点での実験実施に備える。準備の完了した大学から実験を開始する。その際、日本人研究者が海外研究機関に滞在して実験を開始し、その後、現地の研究協力者および研究補助者に引き継いで実験を継続する。Lancaster Universityでの実験は、同大学のJohn Towse教授の協力のもと、分担者の柳岡と代表者の齊藤が、University of BristolおよびUniversity of Exeterでの実験は、それぞれの大学の教員である、Christopher Jarrold教授およびFelice van't Wout講師の協力のもと、分担者の坪見と代表者の齊藤が担当する。なお、海外研究拠点大学において研究倫理審査を受ける必要があるため、その準備および審査の期間を考慮し、実験の開始が2024年10月頃になるものと見込んでいる。2025年度には、引き続き実験を継続するが、新たな実験を実施するに際しては、代表者および分担者が海外研究拠点に一定期間滞在して実験の準備と開始を担う。2025年度の後半から実験データのレヴューを開始し、必要に応じて、2026年度の前半に補足的な実験を、必要な国において実施する。その際にも、代表者または分担者が海外研究拠点に赴いて、現地の研究協力者、研究補助者と共同して実験を実施する。2026年度には、研究成果をとりまとめて国際会議にて報告するとともに論文化し、国際誌への出版を試みる予定である。
|
Report
(1 results)
Research Products
(2 results)