Project/Area Number |
23KK0093
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (International Collaborative Research)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 29:Applied condensed matter physics and related fields
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森山 貴広 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50643326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩田 陽一 京都大学, 化学研究所, 准教授 (70738070)
増田 啓人 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (70981413)
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Project Period (FY) |
2023-09-08 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥19,760,000 (Direct Cost: ¥15,200,000、Indirect Cost: ¥4,560,000)
Fiscal Year 2026: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2025: ¥8,320,000 (Direct Cost: ¥6,400,000、Indirect Cost: ¥1,920,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
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Keywords | 交互磁性 / 人工格子 / 反強磁性体 / 人工交互磁性 / 磁性多層膜 / スピン流 / スピントロニクス |
Outline of Research at the Start |
強磁性、反強磁性、フェリ磁性などの磁性の分類において、近年新たな磁性=“交互磁性”が理論的に提案されており、実験的研究が盛んに行われている。本研究では、従来の実験的研究とは全く異なるアプローチで、磁性多層膜を用いて交互磁性を人工的に実現し、交互磁性の本質を調査することを目的とする。本研究目的の達成には、交互磁性により生じるスピン流やスピン分極の検出技術が不可欠である。そこで、世界最先端のスピン流・スピン分極検出技術を有するデンバー大学のFan准教授との国際共同研究を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
強磁性体、反強磁性体、フェリ磁性体など、磁性体は一般に磁気秩序の様式で分類されており、それぞれの磁気秩序に関する研究は古くから行われ、よく理解されている。つい最近、この分類に加わる新たな磁気秩序として交互磁性が理論的に予言され注目を集めている。強磁性体は正の交換積分により磁気モーメントが平行に揃い、全体として磁化を持つ。また、フェルミ面において伝導電子はスピン分極している。一方、反強磁性体は負の交換積分により磁気モーメントが反平行に揃い、全体として磁化を持たない。さらに、アップスピンとダウンスピンは完全に縮退しており、スピン分極はゼロである。これらは、結晶や電子軌道の構造対称性を考慮しない場合、常に正しい。しかしながら、結晶構造や電子軌道に構造非対称性がある場合、全体として磁化を持たない反強磁性秩序を構成していても、スピン分極が発現することが可能である。このような物質が交互磁性として提案されており、近年、主にバルク結晶において実験的研究が盛んに行われている。 本研究では、従来の実験的研究とは全く異なるアプローチで、磁性多層膜を用いて交互磁性を人工的に実現し、交互磁性の本質を調査することを目的としている。本年度は、交互磁性の条件である層間反強磁性結合と構造非対称性を有する強磁性/非磁性/強磁性の多層膜の作製手法の確立を主に実施した。成膜条件や各層の膜厚などを調整することで、適切な大きさの層間反強磁性結合と上下強磁性層の結晶構造の非対称性を同時に得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成膜条件や各層の膜厚などを調整することで、適切な大きさの層間反強磁性結合と上下強磁性層の結晶構造の非対称性を同時に得ることができており、交互磁性の条件を満たす磁性多層膜の作製手法を確立している。本年度目標としていた、人工交互磁性体の作製および、結晶構造・磁性評価は達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られた試料を利用して、交互磁性から発現するスピン流やスピン分極を検出すべく光学的・電気的測定を行う。交互磁性の解明には、結晶方位や磁気モーメントの方向に対して様々な方向に発現するスピン流やスピン分極の評価が必須である。特に、人工交互磁性体においては、多層膜全体で生じる交互磁性に起因したスピン流と、各強磁性・非磁性層に生じる交互磁性由来以外のスピン流を切り分ける必要がある。申請者が開発・発展させてきた電気的なスピン流測定手法に加えて、磁気光学効果を利用したスピン流やスピン分極を検出する手法を駆使して検出を行う。当初の計画通り、国際共同研究を駆使して日本側研究者らが米国デンバー大学に赴いて測定実験等を実施する。
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