Project/Area Number |
23KK0151
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (International Collaborative Research)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 54:Internal medicine of the bio-information integration and related fields
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柴山 恵吾 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50283437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平林 亜希 国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 主任研究官 (00801911)
木下 遼 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (50846566)
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Project Period (FY) |
2023-09-08 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥20,930,000 (Direct Cost: ¥16,100,000、Indirect Cost: ¥4,830,000)
Fiscal Year 2026: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
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Keywords | 薬剤耐性 / 細菌 / ワンヘルス / 病原細菌 / 分子疫学 |
Outline of Research at the Start |
発展途上国では人が保菌する薬剤耐性菌が直接河川などに継続的に流出している。河川は薬剤耐性菌のリザーバーとなっていて、流入した薬剤耐性菌から耐性遺伝子がプラスミド等を介して他の様々な菌種に伝達されて、薬剤耐性遺伝子が拡散していると考えられている。この研究では、ワンヘルスの視点から人、環境、家畜などの分野で薬剤耐性菌・耐性遺伝子の拡散状況をゲノムの解析から明らかにする。さらに新たな抗菌薬開発も目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
感染症の治療に抗菌薬が使用されるようになり、それに伴って薬剤耐性菌が出現してきた。薬剤耐性菌は特に感染対策が不十分な状況で急速に拡散する。薬剤耐性遺伝子は染色体とは別のプラスミドに存在することが多く、人の体内や環境中で容易に菌種を超えて別の菌に伝達される。薬剤耐性遺伝子は環境細菌の中で増幅と変異を繰り返し、より高度耐性のものが人の病原細菌に伝達される循環サイクルが存在することが推測される。発展途上国では抗菌薬の適正使用や感染対策が十分できていないため、薬剤耐性菌の状況はさらに深刻である。また下水処理が十分でないため、病院や家庭、その他家畜農場等から薬剤耐性菌を含む排水が直接河川に排出されている。カンボジアでは患者から分離される薬剤耐性菌のゲノムに関する情報は限られており、河川や下水に関しては薬剤耐性菌に関する研究はほとんどない。この課題でこれまで、カンボジアにおいて人ならびに環境(河川)における薬剤耐性菌・薬剤耐性遺伝子の実態をゲノムの解析から明らかにし、耐性遺伝子の拡散のダイナミクスを追究してきた。カンボジア国立公衆衛生研究所と共同で、カンボジア国内の河川から広域セファロスポリンに耐性を示す薬剤耐性菌を収集し、日本に輸送して菌種を同定するとともに、薬剤感受性試験を行い、薬剤耐性菌のゲノムの解析を行った。人と河川でどのような薬剤耐性菌がどのような種類の耐性遺伝子・プラスミドを保有して拡散しているのかを明らかにし、さらに薬剤耐性遺伝子のリザーバーとしての河川の役割を追究してきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カンボジアNIPHと共同で、カンボジア国内の河川から、第三世代セファロスポリンに耐性を示すグラム陰性菌を培養した。河川については、比較的大きな河を選定し、下水については地理条件を調べて病院排水、家庭排水などが流入している川を選定し、雨季の9月と乾季の12月に水を採取して細菌の培養を行なった。トータルで182株のグラム陰性細菌を収集した。菌株は全て名古屋大学に輸送した。これまでに同定を行い、Stenotrophomonas maltophilia22株を除外し、160株を保存した。これらのゲノムDNAを抽出して、現在イルミナシーケンスによるゲノムの解析を進めている。予定通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
収集した菌株のシーケンスデータを解析して、薬剤耐性遺伝子を同定する。耐性遺伝子は近年特に拡散しているblaNDM、blaKPCなどカルバペネム耐性遺伝子、blaCTX-Mなどの広域セファロスポリン耐性遺伝子、mcrなどのコリスチン耐性遺伝子、その他tet(X)、tmexCD-toprJなどのチゲサイクリン耐性遺伝子を標的とする。また、我々独自のライブラリを用いて薬剤耐性遺伝子とプラスミドの検出、ならびに型別を行う。イルミナシークエンスで解析した菌株のうち、代表的な株を数株選出して、ロングリードシーケンスを行って完全ゲノムデータを得る。遺伝子型(ST)、プラスミドのレプリコンタイプ、薬剤耐性遺伝子、病原性に関わる遺伝子を同定する。薬剤耐性遺伝子とそのプラスミドについて、菌株同士やデータベースの既報の菌株のものと比較解析する。共存する他の遺伝子やmobile gene elements、プラスミドのレプリコンタイプ、Incタイプ、また遺伝子の並び順から、菌株同士の関係さらに人分野と河川の間での薬剤耐性遺伝子の拡散の動態を明らかにする。ゲノムのデータはデータベースに登録し、今後様々な研究のリファレンスデータとして活用できるようにする。
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