Water quality monitoring of permafrost regions on the Mongolian Plateau and the paleoenvironmental reconstructions using the lacustrine sediment cores
Project/Area Number |
23KK0192
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (International Collaborative Research)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 63:Environmental analyses and evaluation and related fields
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
勝田 長貴 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (70377985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 麻悠子 東京工業大学, 理学院, 研究員 (20647664)
西田 暁史 東京農業大学, 生命科学部, 助教 (40824579)
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Project Period (FY) |
2023-09-08 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥21,060,000 (Direct Cost: ¥16,200,000、Indirect Cost: ¥4,860,000)
Fiscal Year 2026: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2025: ¥7,280,000 (Direct Cost: ¥5,600,000、Indirect Cost: ¥1,680,000)
Fiscal Year 2024: ¥9,100,000 (Direct Cost: ¥7,000,000、Indirect Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 永久凍土 / モンゴル高原 / 水質観測 / 湖沼 / 凍土 / 堆積物 / 河川 / 湧水 |
Outline of Research at the Start |
北半球陸域の約24%を占める永久凍土は、近年の温暖化で融解が進行している。モンゴル高原はシベリア永久凍土南端に位置し、世界の永久凍土地帯の中で最も顕著な温暖化の進む地域のひとつである。本研究は、モンゴル高原南東部・ハンガイ山脈南麓を対象とし、集水域から湖沼に至る季節単位の水質監視と、測器観測データを用いた堆積物組成記録の解析を通じて、最終氷期から完新世に至る環境変動要因を解明することを目的とし、温暖化に伴う永久凍土域の陸域環境の将来予測と対策に貢献しようとするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、夏季にモンゴル高原南西部のValley of the Lake地域の調査を実施し、ブンツァーガン湖、オルゴイ湖、オログ湖とそれらの流域のバイトラック川、ツイ川にて、水質観測、水、土壌、湖底堆積物コアの採取を海外共同研究者の協力を得て行った。その後、10月においても、海外共同研究者により、試料採取と水質観測が行われた。採取した試料は、本年度4月~5月に到着の予定であり、各拠点(岐阜大、東工大、東京農大)で順次分析を進める予定である。 オログ湖湖底堆積物の分析については、C-14年代測定と代替指標の分析を行った。C-14年代測定は、堆積物コア(全長19.35 m)全体を約1 m間隔で試料準備を行った。この堆積物は、周囲がステップであるため、植物片の確保は難しく、土壌TOCで求めることにした。しかし、大半の試料は、C-14測定に必要な炭素量の確保が困難であった。このため、微小量グラファイト化ラインを用いて実施しAMS測定が可能かを検討する。一方、AMS測定可能な試料の結果については、最表層の年代が約10000年前の年代となり、古い炭素の混入が疑われる。下位の2層準でも完新世前期の値が得られたが、今後検討の余地が必要な結果と考えられる。代替指標分析は、TOC、TN含有量と安定同位体組成、鉱物組成、粒度組成の分析を系統的に進めた。このうち、粒度組成分析結果では、上位の完新世の層準がシルト質から構成され、それと類似の粒径を持った層準が下位の最終氷期の層準でも認められ、これらの層準を重点的に分析する目途を立てることができた。 また、分担者として金沢大学・落合助教を迎え、Valley of the Lake周辺の古環境復元の精度向上を目的として、新規湖底コア掘削を実施することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本計画開始当初は、開始時期が2023年10月であることを考慮し、本年度の活動は配分予算額をもとに研究目標の達成に向けた計画全体の再検討と準備を中心に進めることであった。一方で、それに先立ち、2023年7月にモンゴル高原の当該地域で、本計画実施を想定して、国際共同研究者と共に調査地点の確認、水質観測、土壌試料採取や表層堆積物コアの採取等を実施し、十分な打ち合わせを行えたことは本計画遂行にとって有意義なものとなった。また、研究試料のモンゴルから日本への輸出は時間を要したものの、日本からモンゴルへの機材搬入等の制限は無く、円滑に当該地域の調査実施の目途を立てることができた。これと並行して、既に採取済みの堆積物コア分析を通じて、当該地域の古環境変動復元の精度向上のため、湖底堆積物コアの新規掘削の必要性が生じた。予算の限られる中、長尺堆積物コアの掘削技術を持つ、落合助教の参画の承諾を得ることができた。 本計画の課題のひとつであったオログ湖湖底堆積物の年代測定については、C-14年代測定に必要な炭素量を土壌から確保することが困難との結果となった。これについては、100 µmメッシュで分画するほか、微小量グラファイト化ラインを用いるなどの対策の目途を立てた。一方で、オログ湖湖底堆積物の代替指標の分析は、鉱物粒子分画の粒度解析と、TOC、TN含有量と安定同位体組成分析を中心に進め、大局的な堆積物コアの古気候変動記録を把握することができた。これにより、既にドイツグループによって公表済みのオログ湖堆積物コアのバルク粒度やTOC含有量等の代替指標の対比によって、本研究の年代軸の妥当性と、年代軸の確立が困難となった場合の対応策の目途を立てることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、8月~9月に微生物用の水や土壌試料の採取と水質観測を予定している。また、2月~3月には、結氷した湖沼にて長尺堆積物コアの掘削を、水質観測及び水試料の採取と共に実施予定である。 オログ湖湖底堆積物コアに関しては、C-14年代測定と年代軸の構築を進める。特に、2023年度に明確となったシルト質の層準を重点的にC-14測定用試料の準備を進めていく。また、粒度組成解析では、エンドメンバーモデリング解析によって、風成塵や洪水由来成分を文献値と合わせて分析し導き出す。また、有機物組成分析では、TOC・TN含有量と安定同位体比測定を行い、集水域と湖内の生物生産量の変動を進めていく。また、湖内の水質変化や、流域の化学的風化度を解明するため、構成鉱物(炭酸塩鉱物、造岩鉱物、粘土鉱物)のXRD定量分析を行う。これまで未着手の色素分析と硫黄分画試料の硫黄安定同位体分析を行い、これまで得た生物起源シリカやバルクの硫黄同位体比との比較から、アルカリ湖沼における生物指標の有用性と、湖底面付近における硫黄同位体分別効果を評価する。 オログ湖は、ブンツァーガン湖と共にハンガイ山脈南麓を流域に持ち、上流から下流にかけて永久凍土が連続的に減少する。2023年度のモンゴル調査では、オログ湖の流入河川であるツイ川と、ブンツァーガン湖のバイトラック川に沿って土壌試料と水試料を採取した。これらの試料のイオン濃度、安定同位体組成や微生物叢分析を行い、凍土や降水に対する流域から湖に至る応答と素過程の推定に必要な情報を収集する。また、これと並行して、微生物相の水質影響を評価するための菌叢解析による数理モデルの構築を進める。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)