Project/Area Number |
23KK0230
|
Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 05020:Public law-related
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
土井 翼 一橋大学, 大学院法学研究科, 准教授 (20734742)
|
Project Period (FY) |
2023 – 2025
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥13,520,000 (Direct Cost: ¥10,400,000、Indirect Cost: ¥3,120,000)
|
Keywords | イタリア法 / 権利 / 法律上の利益 / 行政訴訟 / 拡散的利益 |
Outline of Research at the Start |
環境利益や消費者利益のような特定個人に排他的には帰属しない利益を行政訴訟においてどのように扱うのかは難題でありつづけている。そして、この問題は、大陸法諸国において、行政訴訟の客観化あるいは主観化と称される相反する2つの傾向を同時に発生させている。本研究の目的は、イタリア行政裁判制度、そしてその基礎にある法律上の利益(interessi legittimi)論の検討及び再解釈を通じて、不安定な状況にある行政訴訟制度が今後採るべき進路を解明することである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
交付決定の時期と渡航時期との兼合いで、2023年度の補助事業期間は3月の一ヶ月のみであった。この短期間に論文を新規に執筆、公表することはきわめて困難であり、その意味での研究実績は2023年度には存在しない。 しかし、国際共同研究の遂行、あるいはより広く国際的な学術交流の促進という観点からは意味のある活動をなしえた。具体的には、第1に、本国際共同研究の海外共同研究者と、権利と法律上の利益の区別に関するイタリア法の議論の蓄積を主題として2024年度末または2025年度に東京でセミナーを開催する旨で合意をした。そのうえで、その内容や態様について日本の同僚も含めて議論を進めている。 第2に、2023年3月に開催された行政法学者協会(AIPDA)のシンポジウムに傍聴者として参加し、博士課程の大学院生など若手を含む多くのイタリア人研究者と交流する機会を得た。イタリアの大学は分権的な構造を有しており、各地にさまざまな「学派」が存在する。その意味で、研究代表者及び海外共同研究者が滞在あるいは在籍するフィレンツェ大学以外の大学の研究者との交友関係を得ることはイタリア法の十全な認識を獲得するという目的との関係で重要である。しかるに、権利と法律上の利益の区別をめぐる日本法とイタリア法の比較法研究という本国際共同研究の主題、あるいは(本国際共同研究の補助事業期間前に原稿を出版社に提出済みの)当該主題の各論の一つとして位置付けうるサンティ・ロマーノの日本における受容に関して上記シンポジウムの懇談会において説明したところ、いくつかの都市の研究者から好感触を得た。現在は、そうした研究者と日本・イタリア行政法研究会の立上げについて議論を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」欄に記したように、2023年度の補助事業期間は一ヶ月のみであった。したがって、論文の公表や研究報告の実施というかたちでの成果は示しえなかった。しかし、複数の研究者と本国際共同研究の主題に関して立ち入った議論を行い、また、国際共同研究あるいは国際交流の基盤整備について具体的な提案を相互になしえたことは、重要な進展であったと考えている。したがって、現在までのところ本国際共同研究はおおむね順調に進展していると評価する。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年8月末までイタリアに滞在するため、海外共同研究者らと議論を行いつつ、可能なかぎり他の都市のイタリア行政法研究者との交流を深める機会をもちたい。また、それと並行して、研究計画に記したようにドイツにおける行政訴訟法の概念構成の変容に関する研究を進める。こちらについても、可能なかぎり8月末までに理解の大枠を固め、ドイツに出張のうえで現地の研究者(既に特定の人物とアポイントを取っている)と議論をなしうるようにする予定でいる。 2024年9月に日本に帰国した後は、在外研究中の成果を論文として執筆、公表する作業に従事する。
|