Project/Area Number |
23KK0238
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 07020:Economic doctrines and economic thought-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野原 慎司 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 准教授 (30725685)
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Project Period (FY) |
2023 – 2025
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥7,670,000 (Direct Cost: ¥5,900,000、Indirect Cost: ¥1,770,000)
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Keywords | 市場 / アダム・スミス / 経済学 / 道徳 / 経済学史 / 幸福 |
Outline of Research at the Start |
本国際共同研究は、グラスゴー大学教授のクレイグ・スミス氏と、アダム・スミス研究を通じて、市場の成立条件についての国際共同研究を行うものである。それにより、アダム・スミスが源流となり、現代経済学につながっている市場理解につき、どのような前提条件があるのかを解明できる。市場の成立条件の解明により、市場が人間の幸福をもたらすにはどのような条件が必要か、どのような条件下で市場は人間の幸福をもたらさなくなるのかの解明を行う。さらに、市場はどのような前提で成立するのかを再考することができる。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、令和6年度からのグラスゴー大学での国際共同研究のための渡英に備えて、研究準備を行なった。 一つには、アダム・スミス関連資料の調査を行なった。とりわけ、海外に行くと、日本語の資料のアクセスが困難になるため、日本語資料の点検を重点的に行った。その結果、下記のことがあきらかになった。 今日では、市場メカニズムが自律的であり、政府の介入を必要とせずとも、商品や労働の需給が自動的に調整されるという一般均衡理論が、経済学の大元を支え、経済政策の根本を担っている。その均衡理論の源流に通常は位置付けられているのがスミスの市場理論である。しかし、スミスの市場理論は、経済のみならず、正義の観点が含まれている。では、スミスはなぜ労働価値説を打ち出したのか?スミスの労働価値説は商品の交換の基準となる正しい価格を示すが、それは、現実の価格変動を説明するメカニズムとは異なることをスミスは認識していた。現代の基準から見ると、両者とも価格の変動を説明する経済学的メカニズムの観点から説明されなければならないが、スミスにあっては、必ずしもそうではない。労働価値説は、正義にかなう価格を示すものとして、中世スコラ学以来の公正価格以来の問題意識を引き継ぐものである。この正義という基準とは別に、現実の価格変動は説明されなければならない。『国富論』第一篇は通常はスミスが経済理論を説明したものとされるが、実際には、スミス法学体系の基礎をなす正義論の視野が潜在している また、市場論についての内外の文献の調査点検を実施し さらに、国際共同研究者であるクレイグ・スミス氏をはじめとして、東京大学経済学部資料室のアダム・スミス蔵書管理の担当者や、他の研究者と打ち合せを行い、渡英の最終準備を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は、研究準備を行なったが、おおむね順調に研究の準備ができた。その結果、令和6年度現在、研究の順調な施行が可能となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、ヨーロッパ経済学史学会、国際功利主義学会で市場は人を幸福にするのかというテーマに関する報告を行う。具体的には、前者では、経済学上の市場論の基礎を築いたヒュームの市場社会史即して、後者では、ヒューム・スミスの市場の道徳的基礎をめぐる論争を報告する。さらに、クレイグ・スミス史と共同で下記の3点の研究を行う。 第一に、スミス市場論の基礎の解明である。このために、スミスやその師匠であるフランシス・ハチスン以外の、18世紀スコットランドでの道徳哲学講義ノートを整理し、スミスの市場論の特徴の歴史的分脈の把握を行うことにした。 第二に、スミスの蔵書に含まれる書き込みの調査である。この点の遂行により、スミスの知的世界の背景がよりあきらかになる。 第三に、スミスの像書の分類のデータベース化である。これによりスミスの知的関心があきらかになり、市場論の背景の把握が可能になる。
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