Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
本研究の目的は、有機分子に普遍的に存在する炭素-水素ならびに炭素-炭素結合の切断、すなわち普遍結合活性化の化学を、高性能遷移金属触媒系の開発を基盤としてその効率、選択性、経済性といった様々な側面から発展させ、精密有機合成化学に新しい有用な反応手法をもたらすことにある。また、開発した手法をパイ共役化合物の合成へと積極的に応用することにより高機能有機電子材料の創製法も併せて検討し、材料化学等の周辺領域の進展も図ろうとするものである。交付申請書に記したように、まず炭素-水素結合切断を伴う酸化的カップリングのための触媒系の高効率化を目指し、第二周期遷移金属触媒の検討を行った。その結果、シクロオクタジエン系配位子を有するロジウム錯体が適当な官能基をもつジフェニルメタン誘導体の環化カップリングの触媒として有効であり、高分子機能性材料の中心骨格として有用なフルオレン化合物が高効率に形成されることを見出した。溶媒としては、キシレンのような芳香族炭化水素が適しており、100-130℃程度の温度で効率よく反応が進行した。カルボキシル基を有する基質では炭素-炭素結合切断(脱炭酸)伴った反応も生起した。一方、安価な第一周期遷移金属触媒を用いる反応として、液晶材料などの創成に利用可能なポリフルオロアレーンの直接的置換反応の検討に着手した。ここでは、リン酸アリルを求電子的アリル化剤とすることで、銅-フェナントロリン錯体触媒を用いたカップリングがエーテル系溶媒中で室温でも速やかに進行し、対応するポリフルオロフェニルアレンが選択的に生成することが分かった。
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Organic Letters
Volume: 14 Pages: 2586-2589
http://www.chem.eng.osaka-u.ac.jp/~miura-lab/index.htm