Project/Area Number |
24530009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Research Field |
Fundamental law
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
石岡 浩 東洋大学, アジア文化研究所, 客員研究員 (60576693)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2014: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2013: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2012: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 法制史 / 刑法 / 書誌学 / 中国正史 / 宋元版 / 明清版 / 京都 / 国際情報交換 / 台湾 / 中国 |
Research Abstract |
本来の計画では、25年度は中国(北京・上海)と台湾(台北)に一ヶ月ほど滞在し、宋元版および明清版の中国正史の刑法志について、数種を校合しながら、文字の校訂を含めた内容の比較作業を行なう予定であった。しかし24年度に引き続き25年度にも入院・手術という憂き目にあってしまったので、体調上の問題から中国・台湾への遠征を控えることにして、もっぱら日本国内の宋元版・明清版資料の調査に従事し、それらを用いてすでに影印書籍として出版されている版本との比較校合・文字の校訂とその内容の検討に集中することにした。 また文字の校訂作業を終えてから行なう計画であった、歴代正史の刑法志の性格と傾向の検討作業に先に手をつけて、とくに『晋書』および『隋書』刑法志の内容を精読し、その作業を通じて、刑法志という形態で記される歴代王朝の法制の概要記述に見られる傾向と問題点の分析を行ない、ある程度の学説的な目処を立てた。この成果は、26年度に学術雑誌上で報告・発表する予定である。 またこの歴代刑法志の研究から派生して、中国古代法制史を題材とした一般向けの概説書の執筆・出版の計画を進めており、堅実な出版社の編集担当者との会合・打合せを頻繁に持つことができた。その出版社は京都に本社を置くため、あわせて京都に所在する明清版の中国正史の調査や京都の博物館・美術館の古籍をひろく見聞するという体験ができた。版本の文字の校訂作業には、書誌学・美術史的な広い知識と美術が必要とされるので、その知識を深める目的で、中国の古籍に限らず、日本の古籍も実地に見て眼識を高めるように勤めた。 なお最終年度に入って、ようやく体調が落ち着いてきたことから、今年度の夏期休暇に北京・台北に滞在して資料調査を行なう予定であるが、本来の計画ほどの長期間の滞在は無理なため、期間を短くして、資料の要所に限定した調査を行なう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度の入院・手術以来、国内における大学の講義や出張、および全国に所在する漢籍資料の調査においては、何ら問題なく通常通りの活動ができるまで、体調は回復しているが、この研究のメインになる、中国・台湾に所在する漢籍資料を調査するため長期滞在してじっくりと文字・内容の比較校合を行なうことはまだ困難がともなっている。内臓の消化器系の手術を二度行なったため、とくに中国の食事情にともなう食事の安全性の問題から、食中毒の可能性や添加物の蓄積などに、現在の私の身体が耐えられるかどうか、心許ないからである。 今年度は、最新の注意を払って渡航して調査に手をつけるが、当初の計画ほどの本格的な徹底調査を行なうことは少々無理があると思われる。そこで現在は国内に所在する漢籍の調査に従事しているが、この国内資料の調査は順調に進んでいるため、本年度を通じて、国内資料を利用した研究には確固とした成果を挙げられるものと思われる。 また国内資料の調査に当たって、図書館・博物館・美術館・資料館などのように、一般に資することを目的とした閲覧のシステムが確立している機関のばあいは、閲覧申請から閲覧まで、時間も手間をそれほどかからない。しかしただその資料を所有しているだけで、とくに一般への閲覧を考えていない機関のばあいは、その閲覧までの手続きに予想外の時間と手間がかかる。紹介者を捜さなければならないこともある。この問題から、本年度中の閲覧調査が不可能なばあいが生じるかも知れない。書誌学または歴史学の大家の紹介状を手に入れるのが一番望ましいが、私の交遊範囲ではなんとも心許ない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、『漢書』『晋書』『隋書』の刑法志をメインの資料として選択しているが、海外資料との比較校合の作業を除けば、『漢書』についてはほぼその目的を達している。残るは『宋版通典』との比較のみである。そこで本年度は『晋書』『隋書』に集中して、まずその内容の正確な読解と問題点の発見を行なったうえで、国内資料を中心として、文字の比較校合作業を行なうことにする。 『晋書』『隋書』の記述もまた、抄出された記事が『宋版通典』『唐六典』に見出されることから、『漢書』とあわせて『晋書』『隋書』も抄出記事との比較を行ないたい。科研費を利用して『宋版通典』全巻を購入することができたので、できるだけはやく『隋書』『晋書』の版本から当該部分の複写を手に入れて、自宅で比較校合をできる環境を整えたい。 コンピューターに複写をすべて読み込むか、あるいはネット上に散在する海外の漢籍の複写の情報を利用して、すべてパソコンに入れたうえで、それを漢籍所有機関に持ち込む方法もないわけではないが、紙質の比較や紙の汚れ・虫食い迹なども検討の材料として重要なため、画像資料で比較することはできるだけ避けたい。迂遠な方法であり、昨今のトレンドから外れていて、しかも海外の研究機関や一部の国内機関は画像の利用のみを提供するものの、版本そのものの閲覧許可をしぶる傾向がある。しかし何とか実物を実見するようにしたい。 また最終年度であるため、少なくとも夏期休暇終了後には、まとまった成果を学術雑誌に投稿し、さらにそれを最終研究成果報告書に盛り込めるようにしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24・25年度の二度の手術・入院により、中国・台湾における長期の資料調査ができなかったことから、本研究費の半分を占める旅費の大部分を使用しないまま、最終年度に至ってしまったことが理由として挙げられる。 本年度はようやく体調・体力も回復の兆しをみせ、長期は難しいが短期であるなら、中国・台湾での資料調査が可能であることから、年度のできるだけ早い時期に両国へ渡航し、まずは該当資料の実見と調査を行なう。その調査をもとに、できれば二度渡航して調査を行ないたい。それで残る旅費分の全額使用が可能になると思う。また現地で資料の複写をできるだけ購入して、日本国内でも検討作業が可能なようにする。その購入費にも旅費分を当てるつもりである。
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