Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
gene XすなわちAPC遺伝子ノックダウンによる子宮頸癌細胞株の形質変化を確認するため、事前実験で使用した配列siRNAを作成した以外に新たに3種類のsiRNAを作成した。siRNAの導入には、Lipofectamine RNAiMAXを使用し、RT-qPCRにてAPCのノックダウンを確認した。事前実験のsiRNAを含め計4種類でHeLa(HPV T18陽性)でのノックダウンを試み、いずれも十分なAPCのmRNAの発現抑制を確認した。また、そのうち3種類で有意な細胞増殖抑制効果を認めた。HeLa(HPV T18陽性)以外にCaSki(HPV T16陽性)、C-33 A(HPV陰性、Rb及びp53に変異あり)をATCCより入手し、これらでもsiRNAを用いて増殖抑制が認められるかを調べた。HPV陽性のCaSkiではAPCノックダウンによる増殖抑制を認めるものもあったが、C-33Aではその効果は不確定であった。しかしsiRNAのトランスフェクション毒性も強いため、結果の解釈が現在のところ困難である。APCノックダウンでb-cateninの増加が認められた(data not shown)ため、b-cateninの強制発現での増殖抑制効果をMTTアッセイで調べた。しかし、b-cateninの強制発現による明らかな増殖抑制効果は認めなかった。これまでの結果として、APC遺伝子ノックダウンによる子宮頸癌細胞株の増殖抑制効果はHPV感染ステータスに関連する可能性が示唆されたが、その決定的なメカニズムの解明には現在のところ迫れてはいない。細胞死に関してはフローサイトメーターを用いたsubG1 アッセイを行う予定であるが、未実施である。また、HPV非感染である他の癌細胞株を用いたAPCのノックダウン実験も未実施であり、これらは今後の検討課題とする。