Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本プロジェクトでは自閉症スペクトラム障害(ASD)で転写的調節不全を起こしている、バイオマーカーとなりうる遺伝子を同定するため、ASD患者から単離したリンパ芽球細胞と対照群のサンプルのトランスクリプトーム解析を提案。我々は既にASDの脳内で調節不全を起こす遺伝子を同定しており(Voineagu et al 2011)、本分析はその結果を活用するように設計した。これに従い2つの具体的目標を設定:目標1:自閉症リンパ芽球トランスクリプトームの性質決定 目標2:リンパ芽球細胞株内で自閉症と相関する遺伝子発現の変化を同定私が別の研究所に移る関係で研究期間が2年からわずか数カ月に短縮され、この短い期間内に自閉症患者のリンパ芽球細胞株を入手するのは不可能になった。そのため正常なリンパ芽球細胞株と正常な脳組織の遺伝子発現を比較してバイオマーカーになりうる有意性を持つ、自閉庄と関連した遺伝子発現の変化の課題に取り組むことにした。ASDの脳内で調節不全を起こす遺伝子は対照群と比較し、既に同定してあるため、今回は既にASDの脳内で調節不全を起こすと確認されている遺伝子のうちどの遺伝子が未梢組織(リンパ芽球細胞株)内にあるか確認するため正常なリンパ芽球細胞株と正常な脳組織を分析した2つのトランスクリプトーム解析法(CAGE法、RNAシークエンシング)を用い、各サンプルを分析した。このため市販の正常なリンパ芽球細胞株と正常な脳組織から全RNAを抽出しCAGEライブラリーとRNAシークエンシング・ライブラリーを作製(Illumina Undrectinal TruSeqprotocol)、これらを高いシークエンス深度(各サンプル推定6000万-8000万リード)でシークエンスした。分析したサンプルと品質管理法は以下のとおり。・リンパ芽球細胞株61歳女性(AICCより入手)・リンパ芽球細胞株48歳女性(AICCより入手)・脳前頭葉27歳男性(Biochainより入手)・脳側頭葉27歳男性(Biochainより入手)・脳後頭葉41歳男性(Biochainより入手)・脳小脳29歳男性(Biochainより入手)・ヒト神経細胞(Science Cell Onlineより入手)・ヒト星状細胞(Science Cell Onlineより入手)サンプル名 濃度(mg/ml) RINLCL_2339 31533 8.5LCL_2341 243.78 8.9前頭葉 219 6.9側頭葉 258.71 7.2後頭葉 8425 6.8小脳 222.14 7.3神経細胞 180.43 4.4星状細胞 1172 9.8RIN(RNA Integrity Number)はアジレント・バイオアナライザで測定、濃度はナノドロップで測定した。上記のサンプルはCAGEライブラリー(プロモーター分析用)とRNAシークエンシング・ライブラリー(発現定量化およびスプライシング分析用)の作製に使用。4つのCAGEライブラリーはペアエンドの50塩基対配列標識を得るため、バーコードを付け、プールし、HiSeq2000シークエンサーの1レーンを用いて配列を解読したRNAシークエンシング・ライブラリーは、ペアエンドの50塩基対配列標識を得るため、4つのサンプルにバーコードを付けプールしHiSeq2000シークエンサーで配列を解読した。