Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本年度は主に、高橋宗直の著述の伝本調査と、高橋宗直の門弟・津久井尚重の歴史研究の様相について研究を行った。前者については、第一に、高橋宗直の著述について、慶應義塾図書館魚菜文庫所蔵の高橋家旧蔵資料を閲覧・調査した。第二に、その他諸所に蔵される宗直の著述について、現物調査又は複写物の取り寄せにより、内容の確認を行った。第三に、宗直の著述のうち最も大部なものである『宝石類書』名古屋市蓬左文庫蔵本90冊について、閲覧・複写を行い、内容目録の作成を進めた。また同時に宗直の学問に大きな影響を与えたと考えられる野宮定基の『群記類鑑』(名古屋市蓬左文庫蔵、220冊)についても閲覧・複写を行って内容を調査するとともに、宗直への影響の可能性について検討した。そして、以上の調査を踏まえ、第245回大阪大学古代中世文学研究会にて、宗直の著述の内容とその思想的特徴についての見通しを報告した。後者については、特に尚重著『南朝編年記略』における『大日本史』の影響に注目し、『南朝編年記略』の依拠資料について調査を行うとともに、諸所に蔵される『大日本史』の伝本および流布状況について調査を行い、『南朝編年記略』における『大日本史』利用の実態や影響について検討した。そして、以上の調査を踏まえ、第123回日本近世文学会大会にて、『南朝編年記略』における『大日本史』利用の様相について研究発表を行い、同発表の内容について、『近世文藝』誌への投稿を行った。
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