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言語外の認知システムを考慮した削除現象の研究

Research Project

Project/Area Number 24720214
Research Category

Grant-in-Aid for Young Scientists (B)

Allocation TypeMulti-year Fund
Research Field English linguistics
Research InstitutionAsahikawa Medical College

Principal Investigator

江本 博昭  旭川医科大学, 医学部, 講師 (30612808)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Project Status Discontinued (Fiscal Year 2012)
Budget Amount *help
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2014: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2013: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2012: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Keywords生成文法 / 削除
Research Abstract

本研究の目的は、言語固有の特質で扱うべきものと、認知機構一般の原理に還元すべき特性との作業分担がどうなっているかを、削除現象の観点から明らかにすることによって、言語理論の深化に寄与することにある。24年度はその準備段階として、削除現象の事実の収集と他分野への応用を視野に入れた整理・一般化に取り組んだ。当初は、削除を照応表現の一種とみなし様々な削除現象を言語的先行詞にのみ依存する場合(表層照応)と文脈にも依存する場合(深層照応)とに分けたHankamer and Sag (1976)の分類を批判的に検討した上で、テストの洗練と新たな一般化を模索した。しかしながら、事実の取集の過程で、削除現象のデータには干渉要因が多く新たに一般化を生み出すことは困難であることが分かった。このため方針を変更し、Hankamer and Sag(1976)の分類を部分修正する形で再検討した。
その結果、削除の構造上の認可と削除の復元のメカニズムが、言語計算の単位であるフェイズおよびフェイズの移送領域と密接な関連があることが示唆された。具体的には、従来深層照応に分類されていた無形輔文照応 (Null Complement Anaphora)に関しては、フェイズが構造上の認可および削除の復元に関与していること、表層照応に分類されていた間接疑問縮約(sluicing)、動詞句削除、単一要素残置 (stripping)に関しては、フェイズの移送領域が、構造上の認可及び復元に関与しているという結果が得られた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

24年度の成果から、削除現象における削除の構造上の認可と削除の復元は、フェイズを基盤とした派生計算と密接な関係があることがわかった。このことは、次の2点において次年度以降の研究の基盤を構築することができたことを意味している。
1点目は、削除現象を言語計算上の問題として俎上に載せることができるようになったという点である。削除現象は、文単位を超える現象であるので、言語計算の中で扱うのは難しいとされてきた。このため、生成文法の最新の研究指針であるミニマリストプログラムでも扱うのが難しいと考えられてきた。しかしながら、削除現象が言語計算の単位であるフェイズと密接な関連があるとすれば、削除現象を言語計算上の問題として扱うことができるようになり、実証的研究の進展に貢献できる。
2点目は、言語固有の特質で扱うべきものと、認知機構一般の原理に還元すべき特性の作業分担という本研究課題の目的を達成するための基盤を構築することができたことになるという点である。1点目で述べたように、削除現象を言語計算上の問題として扱うことができるようになれば、削除現象に関してどこまで言語計算が関与しており、どこまでが言語外の認知機構一般の特性に還元できるのかを検討することが可能となる。このことにより、次年度の研究のための重要な知見が得られたことになる。
したがって、おおむね順調に進展しているといえる。

Strategy for Future Research Activity

25年度は、心理学等他分野の知見を言語理論で扱うことができる形に抽象化し、24年度の研究で得られた事実との類似点・相違点を明らかにする。
方策の1つは、削除の復元のメカニズムと視覚など他の認知機構のメカニズムとの関連性を明らかにすることである。例えば、視覚には、補完された領域が実際には見えないのに、連続した存在を知覚する非感覚的補完 (amodal completion)という現象がみられる。この現象は、非顕在的な要素が復元される削除現象と現象面で類似している。これは言語以外の認知機構で働くメカニズムが言語でも利用される可能性を示唆している。そこで、視覚における補完現象の研究で得られた知見を、現代の言語理論で扱うことができる形にまで抽象化する。そして、24年度の研究で得られた一般化との類似点および相違点を明らかにする。
具体的な計画としては、24年度の研究によって得られた事実と視覚等の心理学データとを照らし合わせて、それぞれを抽象化し、類似点・相違点を明らかにする。その観点から24年の研究で得られた削除の分類を洗い直す。また、研究の途中経過をまとめ、学会発表を行い、他の研究者からのフィードバックを得ることで、研究内容を深めていく。
心理学の知見と24年度の研究で得られた削除の一般化との類似点を見いだせなかった場合は、言語と関わりの深い、視覚以外の別の認知機構との関連が探れないかを検討する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

24年度は、資料収集に必要な旅費が当初の予定より若干少なくて済んだため、当該研究費が生じた。25年度は、この分と25年度分に請求する研究費を合わせ、図書購入費、資料収集および成果発表のための旅費、文献複写費に使用する予定である。図書購入に関しては、所属機関医学系単科大学のため英語や心理学の専門的な研究資料が不足しており、研究費だけでは賄うことができないため、科研費を使用する。また、成果発表を通して内外の研究者から知見を得るために、旅費として使用する

Report

(1 results)
  • 2012 Research-status Report
  • Research Products

    (3 results)

All 2012 Other

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 生成文法理論における削除研究 現状と展望2012

    • Author(s)
      江本博昭
    • Journal Title

      Proceedings of the 56st Conference, The English Literary Society of Japan, Hokkaido Branch

      Volume: 56 Pages: 127-128

    • Related Report
      2012 Research-status Report
  • [Journal Article] Two Types of Ellipsis: A Phase-Based Approach2012

    • Author(s)
      Hiroaki Emoto
    • Journal Title

      北海道英語英文学

      Volume: 57 Pages: 31-37

    • Related Report
      2012 Research-status Report
    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Labeling Algorithm and Repair Phenomena

    • Author(s)
      江本博昭
    • Organizer
      北海道理論言語学研究会 第5回大会
    • Place of Presentation
      北海道教育大学(旭川校)
    • Related Report
      2012 Research-status Report

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Published: 2013-05-31   Modified: 2019-07-29  

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