Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
凍結食品は,輸送・保存中に起こる温度変動によって絶えず熱的なショックを受けている.食品の融点は,その成分にもよるが0 oCよりも低いため,温度変動がマイナス温度域に限定されていても,その状態はダイナミックに変化している.特にその表面付近における一時的な解凍は,再凍結時に核形成をコントロールできないため,著しい品質低下を引き起こす.実際の凍結食品を考える場合,温度変化に敏感な“表面”付近はダイナミックに相状態を変化させていると予測できる.食品の融点がマイナス温度にあることを考慮すれば,一般的に言われる0℃以上の温度域における解凍の概念をはずし,実際の融点に着目をして検討を行うことは,凍結食品の品質維持・向上のため必要である.本研究では、凍結食品における解凍・再凍結に伴う氷結晶形態の変化を検討することを目的に、アイスクリーム溶液を用いて、再凍結後の氷結晶形態を観察した.DSCにて融点を確認したアイスクリームミックス中の氷結晶を光学顕微鏡にて観察した。凍結させたアイスクリームを所定の解凍温度で解凍させた後,再び,-30 ℃まで温度を降下,再凍結させた、光学顕微鏡にて氷結晶形態を観察した.得られた画像より,氷結晶輪郭形態のフラクタル次元(D)を求めた.その結果、0.2と0.4℃にて一旦解凍された試料中には、円形の氷結晶(D=1)が多く観察された.また,凝集によって形成された氷結晶(D=2)にも存在した.一方,-0.6,-0.1℃にて解凍したアイスクリームミックス中には,円形の氷結晶は少なく、複雑な表面構造を持つデンドライト様の氷結晶が形成していた.各試料内に存在するD= 1で示される氷結晶の数を計測し,解凍温度との関係を検討した.その結果,解凍温度の低下に伴い円形の結晶の数は減少することが確認され,解凍温度が再凍結後の氷結晶形態に影響を与えることが示された.
All 2012
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results)
日本冷凍空調学会論文集
Volume: 29(2) Pages: 263-270