Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
2型糖尿病は心不全や心臓突然死のリスクを増加させるが、心筋細胞のイオンチャネルリモデリングに関する報告は少ない。そこで今回、肥満2型糖尿病モデルのラット(OLETF)を用い、イオンチャネルリモデリングに関して研究を行った。左室心筋細胞を単離し、ホールセルパッチクランプ法による実験では、OLETFは非糖尿病コントロール(LETO)に比して、心内膜側にて一過性外向きカリウム電流(Ito)の電流密度の減少を認めた。次に、RT-PCR法およびウエスタンブロット法でItoを構成するサブユニットの検討を行ったところ、心内膜側にて、OLETFはLETOに比してKv4.2とKChIP2のmRNAレベルおよび蛋白レベルの低下を認めた。心内膜側に豊富に発現し、Kv4.2を負に制御することが知られている転写因子Irx5のmRNAは、OLETFでLETOに比して有意に発現が亢進しており、各サンプル間でIrx5とKv4.2のmRNAは有意な負の相関を示した。一方、OLETFではLETOに比して小胞体ストレスマーカーであるGRP78、GRP94の蛋白レベルの亢進を認めたが、小胞体ストレス軽減薬である4-phenylbutyric acidの40mg/kgの1週間の腹腔内投与は、OLETFでのGRP78, GRP94の蛋白レベルおよびIrx5のmRNAレベルを低下させた。最後に、H9c2心筋細胞を小胞体ストレス誘導薬であるthapsigargin(0.1μmol/L)やtunicamycin(1.0μg/mL)の存在下で24時間培養すると、コントロールに比してIrx5のmRNAは有意に発現が亢進した。以上より、2型糖尿病における心内膜側有意のIto減少の機序として、小胞体ストレス亢進によるIrx5発現亢進を介したKv4.2の発現低下が寄与していることが示唆された。
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