Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
メタボリックシンドロームに関連した最終的な死因においては心血管病が大きな割合を占めている。そこで、今回の研究は、肥満・メタボリックシンドロームにおける心筋毒性のメカニズムを解明することを目標とし、その鍵となる代謝ストレスとして、食事の種類により大きく組成が異なり、メタボリックシンドロームで血中濃度が上昇している遊離脂肪酸に着目した。特に血中遊離脂肪酸の30-40%を占める長鎖飽和脂肪酸であるパルミチン酸に着目して実験を構築した。長鎖飽和遊離脂肪酸の果たす役割を検討する方法として我々が独自に確立した単一種遊離脂肪酸の経静脈的投与法を利用し、さらにそのメカニズムのとして、免疫細胞の活性化・動員、それに続く慢性炎症の心機能障害への寄与を解析した。まずパルミチン酸持続投与モデルにおいて心室のmRNAレベルを検討すると、パルミチン酸負荷が心臓内に炎症を惹起する事を確認した。さらに、フローサイトメーターにより細胞集団の変化について検討をおこなうと、免疫細胞の集積が生じており、このことが炎症の惹起においては一つの重要なメカニズムであることを見いだした。メタボリックシンドロームの病態においては、代謝ストレス以外にもneurohumoralな刺激が合併することにより病態が惹起されている可能性を考え、アンジオテンシンII負荷をパルミチン酸負荷に加えると、心筋内の炎症が強く増幅されることが明らかとなった。以上のin vivoでの検討を元に、現在心筋プライマリーカルチャーにおけるパルミチン酸およびアンギオテンシン負荷の影響を観察することによって、心筋細胞内での現象と、免疫細胞との相互作用によって生じる現象を分けて考えることができると考え、現在実験系を構築している。
All 2012
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