Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
我々は先行研究にて、定型発達児19人を対象に、言語性短期記憶能力が高い小児ほど、日常物の絵を短期記憶する時に絵を言語化して覚えることを、近赤外線分光法(NIRS)を用いて腹外側前頭前野の活動を測定することにより明らかにしていた。これを踏まえて、17人の注意欠如多動性障害(ADHD)児を対象に、NIRSを用いて、同じタスクを施行する時の脳活動を測定した。定型発達児では、腹外側前頭前野の活動と言語性短期記憶能力に正の相関が見られていたが、ADHD児ではそのような相関が見られず、両者の相関係数に有意差を認めた。このことは、ADHD児では、記憶能力が高くても絵の短期記憶時に言語化をする傾向が見られないということを表すと考えられた。ADHD児では、行動学的実験よれば、音韻ループの障害よりもむしろ中央実行系の障害が示唆されており、この結果は、ADHD児では、中央実行系が音韻ループをうまく制御できずに、絵を言語化して覚えるという戦略を選択しにくいことを表していると考えられた。また、ADHDの第一選択薬であるメチルフェニデート徐放剤を内服すると、定型発達児に近い脳活動パターンを示すことも見出すことができ、メチルフェニデートが記憶戦略を変えることに寄与していることが明らかになった。このように、ADHDの小児で、機能画像を用いて、絵の短期記憶の音韻戦略を検証した研究は、今までに皆無であり、ADHD児の短期記憶の特徴を理解するうえで非常に重要な所見を見出すことができたと考えられる。
All 2013 2012
All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (2 results)
Brain and Development
Volume: 35 Issue: 6 Pages: 575-578
10.1016/j.braindev.2012.08.003
Volume: 35 Issue: 5 Pages: 441-444
10.1016/j.braindev.2012.06.009
Brain Dev
Volume: (In press) Issue: 10 Pages: 852-856
10.1016/j.braindev.2012.02.006