Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
子宮内膜症の進展に関するメカニズムについて、ヒト子宮内膜症間質細胞の細胞外マトリックスに対する接着性は増強していることをつきとめた。子宮内膜症は異所性に増殖する子宮内膜組織を特徴とする。子宮内膜症が腹腔内臓器に広がる最初のステップのひとつとして、まずはすでに存在している子宮内膜症病変から子宮内膜症細胞が、腹水中へ放出され、正常腹膜表面に接着する。腹膜表面に存在する特異な細胞外マトリックスに対する子宮内膜症細胞の癒着能および増殖能の増強が子宮内膜症の進展に関わっていると推測された子宮内膜症間質細胞および正常子宮内膜間質細胞における癒着の特性について、in vitroでCell adhesion assaysを用い、関連する細胞外マトリックス蛋白について調べた。また、これらの細胞におけるインテグリンの発現に関しては、western blot法を用い、蛋白発現を調べた。コラーゲンI、IVにおいては子宮内膜症間質細胞および正常子宮内膜間質細胞の両方で蛋白発現が認められたが、子宮内膜症間質細胞の方がより強く認められフィブロネクチンおよびラミニンにおいては子宮内膜症間質細胞において蛋白発現の増強が認められた。正常子宮内膜間質細胞に比べ、子宮内膜症間質細胞において、インテグリンα1、α2、αv、β1、β3の蛋白発現がより増強していた。その一方で、インテグリンα3、αLの蛋白発現は正常子宮内膜間質細胞に比べ子宮内膜症間質細胞減弱していた。子宮内膜症間質細胞は、正常子宮内膜間質細胞と比較して、細胞外マトリックス蛋白に対して、より強い接着性を獲得していると考えられ、この接着性の増強には、integrinの発現の異常が関与していると推察された。Integrinを介する子宮内膜症間質細胞と細胞外マトリックスとの相互作用は子宮内膜症病変の腹膜播種のメカニズムの一部であると考えられた
All 2012
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