Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
骨格筋は極めて可塑性に富んだ組織であり,損傷しても健常な骨格筋では筋幹細胞であるテライト細胞により速やかに再生される.しかし,過度の筋損傷を伴う運動,加齢性筋肉減少症(サルコペニア),遺伝性筋疾患である筋ジストロフィーでは,筋適応機構が破綻し,サテライト細胞による再生が追いつかず,結果的に不完全な再生を惹起し筋量の低下を招く.骨格筋の可塑性には筋部位依存性が存在し,サルコペニアや筋ジストロフィーにおいても病態が発現する筋肉に部位依存性があることがわかってきたが,その分子細胞メカニズムはほとんど明らかになっていない.そこで我々はこの筋部位依存的な可塑性についてサテライト細胞に着目し,成体B6マウスを用いて頭部および下肢筋由来のサテライト細胞を単離しその分子特性を調査した.初代培養にてサテライト細胞の運命決定(増殖,分化,自己複製)における差異を検討したところ,頭部筋由来細胞は,下肢筋に比べ筋分化および自己複製しにくい反面,増殖能が著しく高いことを確認した.続いて,サテライト細胞の発生起源特異的な分子的特性を調べるためDNAマイクロアレイによる網羅的発現解析を行ったところ,頭部筋と下肢筋由来のサテライト細胞間では特に生物種間で保存されているホメオボックス型転写因子の発現パターンが異なることがわかった。定量PCRにて発現パターンを確認した後,数個のホメオボックス型転写因子まで絞り,siRNAによるloss-of-functionの系により機能を評価した。その結果,四肢筋特異的に発現するHox遺伝子群の一部は,四肢筋由来サテライト細胞の運命決定に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。今後,成体骨格筋におけるHox遺伝子群の役割を解明するためにfloxマウスを作製して機能を解析する。また今後は,タンパク質をコードしていない機能性のマイクロRNAにも着目して調査する予定である。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
All 2012 Other
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (5 results) (of which Invited: 1 results)
基礎老化研究
Volume: 36 (3) Pages: 51-53
10031121038
J Radiat Res
Volume: 54(2) Issue: 2 Pages: 268-76
10.1093/jrr/rrs105