Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
バラ科サクラ属果樹の多くは配偶体型自家不和合性を示し、このことが栽培上や育種上の障害となっている。バラ科サクラ属の自家不和合性反応は,細胞毒として機能する花柱側因子S-RNaseが非自己花粉では無毒化されるものの自己花粉では無毒化されないことで引き起こされると説明されてきた。しかしながら、本モデルの中枢をなすS-RNaseを無毒化する分子(General Inhibitor; GI)は未同定のままである。本研究は、GI候補遺伝子とされるSLFL1、SLFL2、SLFL3の生化学的特性調査によってGIの同定を試みるものであり、また得られた知見を自家不和合性機構解明および果樹園芸・果樹育種の発展に利用しようとするものである。本年度は大腸菌発現系を利用して、SLFL1、SLFL2、SLFL3可溶性組換えタンパク質の作出を試みた。オウトウのS4ハプロタイプに由来するSLFL1、SLFL2、SLFL3遺伝子配列を各種タグ融合組換えタンパク質発現ベクターにクローニングし、一連のタグ融合SLFL発現コンストラクトを作出した。次に、これら作出したコンストラクトを導入した大腸菌の培養条件について検討を行ったところ、収量は僅かであるものの、いずれのSLFLについても可溶性のタグ融合組換えタンパク質として発現させることに成功した.今後は作出した組換えSLFLのS-RNase結合能について調査を進めていく予定である。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。