Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
「諸言」肺気腫は肺胞壁の破壊的変化を伴う疾患であり、その組織破壊の機序としてはプロテアーゼの絶対的あるいは相対的な上昇が重要視されている。しかし、プロテアーゼ活性の亢進とアポトーシスの進行との間を結び付ける分子機序については不明である。本研究課題では、肺気腫の肺胞上皮細胞におけるアポトーシスと肺胞上皮に発現するCADM1の細胞外切断(shedding)との間の因果性について調べる。「方法・結果」(1) 肺気腫病理組織検体の収集: 近畿大学医学部附属病院において採取する。対照群としては、肺に著変のない症例の解剖例を用いる。(2)肺気腫における肺胞上皮アポトーシス: パラフィン包埋ブロックの薄切切片をTUNEL法に供し、アポトーシスの頻度を調べる。肺気腫においてTUNEL陽性細胞の割合が有意に高いことを明らかにした。(3)肺気腫におけるCADM1発現: 肺気腫と対照群の肺組織ライセートを調整し、抗CADM1抗体でのウエスタンブロットに供する。症例ごとに全長型に対する切断産物の量比をCADM1 shedding率として算出する。肺気腫におけるCADM1 shedding率が健常肺に比べて有意に高いことを示した。(4)CADM1 sheddingの最終産物の検出: (a)肺気腫と対照肺の肺組織ライセートをCADM1 C末抗体にて免疫沈降し、続いてウエスタン法に供して細胞内断片(ICD)の検出を試みる。(b) 肺胞上皮細胞(腫瘍性細胞株NCI-H441など)をTPAやトリプシン処理によりCADM1のsheddingを亢進させ、(a) と同様の実験を行う。肺気腫にのみICDを検出することができた。「考察」肺気腫の肺胞上皮ではCADM1のsheddingが亢進状態にあり、その結果として肺胞上皮の病的なアポトーシスが惹起されている可能性が考えられる。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
All 2012
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results)
Lab Invest
Volume: 92 Pages: 1374-1385
J Neuroimmunol
Volume: 250 Pages: 50-58