Research Abstract |
1.研究目的 福島第一原子力発電所の事故を受けて、国と福井県のエネルギー・環境教育は、大きく見直しを求められ根底から変わろうとしている。この状況に鑑み、ポインター方式及びディンプル・ソケット方式分子模型教材で培ったノウハウを活かし、新しい科学コミュニケーションツールとなる原子模型教材の開発を目指す。 発泡ポリスチレン球を用い、原子を電子球、陽子球と中性子球でモデル化する安価な原子模型教材の開発と普及を図り、新しいエネルギー・環境教育を展開し、次世代の科学力と判断力を備えた生徒の育成を図る。 2.研究方法 1)原子のボーアモデルの台紙型教材の開発 2)発泡ポリスチレン半球と透明プラスチック球を用いた原子核模型の開発 第1~3周期用に球の立体的原子模型を開発する。原子核は、透明カプセルを使用し、所定の陽子と中性子を入れて発泡ポリスチレン半球の中央くぼみに挿入する。電子は、K,L,M殻上にあるくぼみにソケット方式ではめ込む。全体を透明なプラスチック半球ケースでカバーする。どのモデルでも最外殻の電子は、カバーを付けた状態からでも脱着が可能なモデルとし、イオンの学習にも応用する。 3)授業で活用できる分子模型の制作と授業での活用 これまで、福井大学との共同研究で、以下の実践教育プログラムを開発してきた。 (1)原子・分子の粒子概念の認識と理解 (2)放射線とエネルギー環境教育 (3)生物多様性と環境科学教育 この研究開発を継続して進め、授業を通して効果を探る。 3.研究成果 「分子模型制作&活用マニュアルVer.2」をつくり、中学校教育研究会理科部会を中心に現場の教員に配布して研修会を行った。また、日本エネルギー環境教育学会、日本理科教育学会、応用物理教育学会、日本理科教育学会北陸支部大会で、様々な分子模型教材や実践例を示して、粒子概念の育成のために分子モデリングの有用性を示したり、教育現場での活用を呼びかけたりすることができた。
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