Research Abstract |
生体信号計測において,電極貼付け前に皮膚の前処理を行い皮膚接触抵抗を低下させることは重要である。フォノフォレーシスを皮膚前処理方法へ応用するための基礎実験として超音波処理と水分浸透との関係について定量的に検討した。 フォノフォレーシスと水分浸透との関係を観測するため,スポンジに食用色素溶液を浸透させた後に超音波処理を行い,スポンジに浸透している水分を画像処理により測定した。超音波処理について,一検討として超音波プローブを駆動する方形波の電圧を0-10Vの範囲で1Vおきに変化させ,超音波駆動電圧と水分浸透との関係を定量的に検討した。 実験方法について,20mm×20mm×32mmのメラミンスポンジに容量1mlのシリンジで量りとった食用色素溶液0.2mlを滴下した後,滴下面に1分間超音波プローブを接触させて超音波を照射した。これを測定試料とした。次に,溶液が浸透している部分の面積を定量化して指標とするため,測定試料を縦断面に切断した後,縦断面をディジタルカメラで撮影して画像をPCに取り込み,画像処理により水分浸透面積を測定した。 結果として,駆動電圧0Vと比較して,9Vおよび10Vのときに水分浸透面積が約10%増加した。また,4Vのときに約10%減少した。測定試料の作製精度を考慮すると再現性のある結果とは言い難いが,さらに高い電圧で超音波プローブを駆動してより高い音圧の超音波で処理することにより,水分浸透を促進することができる可能性が示唆された。 今後は,ヒトの皮膚構造に近い皮付き鶏肉などを測定試料として実験を行い,超音波処理と水分浸透との関係を検討すること,さらに,超音波処理と皮膚インピーダンスとの関係を検討することを考えている。
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