Research Abstract |
○研究目的:鉛を含まず,かつ大振幅励振特性に優れた,圧電単結晶材料であるLiNbO_3を使用して,定在波で屈曲振動する2枚の正方形板状の固定子(ステータ)を構成し,回転子(ロータ)をステータと非接触で回転させる,非鉛圧電単結晶を用いた非接触駆動超音波モータを実現する。 ○研究方法: 1.有限要素法を用いて,屈曲振動を効率よく励振できるLiNbO_3の切り出し角度,LiNbO_3や金属板の厚さに対する屈曲振動モードの共振周波数を解析した。 2.上記の解析で得た結晶方位角や厚さをもつLiNbO_3とステンレス板を用いてステータを作製し,非鉛圧電単結晶を用いた屈曲振動子としての特性を評価した。 3.上記のステータを用いて非接触駆動超音波モータを作製し,ステータの駆動電気端子から,ロータ径やギャップ長に対するギャップの音響インピーダンスを実測した。 4.回転速度や起動トルク特性のロータ径やギャップ長依存性を測定し,上記3の結果と比較検証した。 5.境界要素法を用いて,空気の粘性の影響とギャップ間の音響結合を考慮した音場解析を行った。 ○研究成果: 1.有限要素法解析結果から,X30゜回転Y板のLiNbO_3を用いると容量比が最小になり,厚さ0.35mmのLiNbO_3板と厚さ0.6mmのステンレス板を用いたときに約19kHzの共振周波数が得られることを明らかにした。 2.ステータの共振尖鋭度は従来よりも約2倍の値が得られ,低損失化を実現した。 3.LiNbO_3を使用した正方形板状ステータを用いてロータの非接触回転に成功し,非鉛圧電単結晶を用いた非接触駆動超音波モータを実現した。約5,000rpmの高速回転を実現した。 4.ギャップ空間の音響インピーダンスの測定結果との比較から,ステータの共振周波数とギャップの音響的な共振周波数を近づけた時にモータ特性が高くなることを明らかにした。 5.境界要素法による音場解析結果から,駆動電圧の位相を90。とした2つのステータの定在波振動によって,ロータ上下の2つのギャップ内に進行波音場が発生することを実証した。
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