Research Abstract |
医療現場では抗癌剤の副作用回避のためにシグナル伝達系等を含めた各種癌細胞の特性について詳細な研究が必要である。本研究はラット肝化学発癌過程において発現するサイクロフィリンB(CyP B)ペプチド抗体陽性蛋白(CARPと呼ぶ)の構造解析、およびその発現機構を明らかにすることを目的とする。 当薬剤部ではCyP Bの機能解析を目的としてペプチド抗体を作製しラット肝での発現を検討した結果、化学発癌を呈したラット肝臓において特異的な蛋白(CARP)を検出することができた。一般にCyP Bは癌細胞の分化・増殖に深く関わっている可能性が示唆されているが、未だその機能については不明である。CARPの構造解析および発現機構の検討は、CyP Bの機能の解明に貢献することができ、ヒト各種癌細胞の特性を明らかにする重要な情報となり、薬剤管理指導業務において副作用の発現等の発見や理解において重要である。 我々の研究においてCARPは精製段階が進むにつれて不溶性となることを見出していた。CARPの構造解析への分離には、可溶化条件の検討が最重要課題である。本研究ではCARPが発現しているラット肝を得るために、ラット肝化学発癌モデルを用い、各種発癌過程のラット肝を作成した。発癌過程は抗GST-P抗体を用いてイムノブロット法および免疫組織学的手法でGST-Pの発現より評価した。現在これらの標本を用いてCARPの精製を行っているところである。 本研究の教育的・社会的意義は、癌細胞でのCyP Bの生理的役割が明らかになり、バイオマーカーとしての有用性などが示されれば,今後,ヒトでの検討を行い,ヒト肝がんの治療効果の判定等への有用性が期待される。
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