Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
新型コロナウイルスに近縁なコロナウイルスが、アジア諸国に生息するコウモリから同定・分離され、それがヒトに異種間伝播することで、新型コロナが誕生したと示唆されている。コウモリのコロナウイルスがヒトに異種間伝播し、病原性を発現する原理の解明は、新型コロナの誕生原理の理解から、将来、次のパンデミックウイルスの誕生の防止に繋がる。特に次のパンデミックを引き起こしうる、コウモリ保有のコロナウイルスに着目した研究を実施する。つまり、「パンデミックウイルスの誕生に至る原理はなにか?」が、本研究課題の核心かつ学術的「問い」であり、次のパンデミックを防ぐことに資する、学術的医学的社会的に重要な研究課題である。
本申請「パンデミックウイルスの誕生原理の解明(R6から8年度)」では、コウモリ・ハクビシン・ヒトといった複数宿主におけるウイルス感染・伝播の分子基盤を解明することを主眼として実施している。当初の研究計画では、(1)動物由来iPS細胞とオルガノイドを用いたウイルス指向性の解析;(2)スパイクタンパク質のfurin cleavage site (FCS)改変による病原性解析;(3)モデル動物による病原性・伝播性評価;(4)CRISPRライブラリによる宿主因子のスクリーニング、という4つの研究軸により、パンデミックの分子進化過程を包括的に理解する体制を構築を目指した研究を進めている。
1: Research has progressed more than it was originally planned.
R6年度の研究によって、「研究実績の概要」に記載した(1)(2)(3)はほぼ完遂し、それに関連する高い研究成果を挙げている。たとえば、SARS-CoV-2関連のコウモリコロナウイルスのひとつであるBANAL-20-236について、furin cleavage site (FCS)の有無と病原性の相関や、オルガノイドを用いた宿主適応の可視化に成功した(Fujita et al., eBioMedicine, 2024)。上記(4)は、現在も進行中である。さらに、出現が続く新型コロナウイルスについても、「Genotype-to-Phenotype」研究を継続し、R6年度には、Lancet姉妹誌に責任著者として論文を7報発表した。このことは、研究代表者は、現在においても、世界のコロナウイルス研究を牽引する立場にあると言える。
実験室内での研究としてはほぼ完成している本課題であるが、本課題を申請したR5年度、および、初年度の研究を遂行したR6年度とは、このトピックを取り巻く研究環境が大きく変化している。すなわち、実験室内での実験研究に留まらず、実世界におけるコウモリコロナウイルスの流行動態と進化を理解することこそが、「次のパンデミック」への備えに直結する、という研究方針である。研究代表者は、このような研究の潮流に対応するために、本課題で計画していた研究内容に加え、東南アジアおよび南アジアの重点国(ベトナム、タイ、カンボジア、マレーシア、インドネシア、バングラデシュ)との共同研究を開始するべく、現地を訪問し、カウンターパートを確保し、共同研究契約(MOU)を締結し、「G2P-Asia」という、「次のパンデミック」に備えるための多国にまたがる国際コンソーシアムの確立と主導に向けて活動を開始した。特に、本課題につながるタイとの共同研究の一端はすでに、学術論文の投稿に至っている(Wacharapluesadee et al, Cell, under review)。以上より、現在までの研究成果と、申請者が整備を進めた国際ネットワークを踏まえ、次の段階の研究を早急に開始する必要があると判断した。すなわち、ヒトと野生動物のインターフェースにおけるウイルス監視(Genotype解析)と、その実験室における高度な表現型解析(Phenotype解析)を統合した、国際的な学際研究構想を実現する必要がある。特に現在、NIH予算などのアメリカ主導の国際的な感染症研究支援が縮小傾向にある。これはすなわち、日本がプレゼンスを強化し、国際的なリーダーシップを発揮する好機でもある。本課題を遂行するための人的ネットワークや研究インフラはすでに整備されており、その実行フェーズに進む必要性がある。
All 2025 2024
All Journal Article (14 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results, Peer Reviewed: 14 results, Open Access: 14 results) Presentation (12 results) (of which Int'l Joint Research: 8 results, Invited: 12 results) Book (1 results)
The Lancet Infectious Diseases
Volume: 25 Issue: 2 Pages: e61-e61
10.1016/s1473-3099(24)00810-7
Virology Journal
Volume: 21 Issue: 1 Pages: 84-84
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iScience
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Volume: 24 Issue: 7 Pages: e416-e416
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Volume: 24 Issue: 9 Pages: e546-e546
10.1016/s1473-3099(24)00461-4
Transboundary and Emerging Diseases
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Volume: 24 Issue: 10 Pages: e609-e609
10.1016/s1473-3099(24)00505-x
mBio
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Volume: 15 Issue: 1 Pages: 8574-8574
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Volume: 110 Pages: 105439-105439
10.1016/j.ebiom.2024.105439
Volume: 24 Issue: 12 Pages: e736-e736
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