| Project/Area Number |
24K00576
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| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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| Allocation Type | Multi-year Fund |
| Section | 一般 |
| Review Section |
Basic Section 13030:Magnetism, superconductivity and strongly correlated systems-related
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| Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
前川 禎通 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 客員主管研究員 (60005973)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 慧 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 副主任研究員 (10746811)
藤本 純治 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (10794878)
Puebla Jorge 京都大学, 工学研究科, 准教授 (60753647)
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| Project Period (FY) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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| Budget Amount *help |
¥18,200,000 (Direct Cost: ¥14,000,000、Indirect Cost: ¥4,200,000)
Fiscal Year 2026: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥8,450,000 (Direct Cost: ¥6,500,000、Indirect Cost: ¥1,950,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
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| Keywords | スピントロニクス / 渦運動 / 非相反性 / 流体運動 / 整流効果 / 表面弾性波 / 電流渦 / 渦度ースピン結合 |
| Outline of Research at the Start |
電流の非相反性の制御はエレクトロニクスの最も基本的な問題であり、スピントロニクスをエレクトロニクスに代わる次世代の科学技術と捉えるとき、「固体中の渦度ースピン結合において生じる非相反性」は基本的な課題である。本研究では、理論と実験の強力な連携のもと、(i)傾斜材料での電流渦の生成と制御、(ii)電流渦による磁気スキルミオンの生成と制御、(iii)表面弾性波の渦度により生じる非相反性を用いた磁歪定数測定手法開発、(iv)弾性体表面の周期微細加工による表面弾性波伝搬の非相反性制御、(v)磁気渦と音響渦の間のカイラル相互作用、について研究を展開する。
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| Outline of Annual Research Achievements |
電子の持つスピン角運動量を微小回転子と捉えることにより、スピンと力学運動の相互作用 が導かれる。これは1915年にアインシュタイン達が示した磁気モーメントと力学回転の変換(アインシュタイン・ドハース効果の量子版である。当研究代表者と共同研究者のグループは液体金属(Hg、GaInSn合金等)の流れが渦運動(局所回転)を伴うことに注目し、流体の渦が持つ角運動量が電子スピンに受け渡されてスピン流が生成することを明らかにした。この現象を基礎とする研究分野は現在「流体スピントロニクス」と呼ばれている。 「非相反性」とは電流をはじめとする粒子やエネルギーの流れが、一方向のみに流れ逆方向 には流れない現象であり、半導体のpn接合に代表される整流効果はエレクトロニクスにとっ て最も重要な「非相反性」である。 本研究では、エレクトロニクスの次世代を担うスピントロニクスにおいて「固体中の渦度-スピン結合から生じる非相反性」を開拓し、その普遍性と有用性を明らかにすることである。特に、固体の最も基本的なダイナミックスである電流と格子振動の渦運動を取り上げ、渦度が角運動量保存則に基づいて電子スピンと結合することで「非相反性」が生じることを示し、その応用への可能性を追求する。これまでのスピントロニクスは主としてオンサガーの相反定理を指導原理として発展してきたが、その枠にとらわれず「非相反性」を創出する系統的な研究は、当研究グループのスピンと回転の結合に関する実績と知見があって初めて可能になる独自のものである。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
電子間相互作用が強く、不純物散乱の少ない電子系は流体力学的な振る舞いをする。即ち、従来のオーミックな流れに加えて、水のように粘性が現れる。このような粘性を持つ流体の例に管を流れる水流れ、層流、があり、Poiseuille流と呼ばれる。我々は、スピンホール効果を示す電子系では、スピンと電荷の相互作用の結果、電流の流れはPoiseuille流とは逆の、anti-Poiseuille流になることを理論的に示した。また、2次元電子系では、スピン蓄積が電流渦と等価になることも見出した。 このような流体力学的な電流の振る舞いを利用すると、磁性金属でのトポロジカルな磁気構造を制御することが可能である。例えば、FeGeのような磁性金属にナノ構造の穴を開けて電流を流すと、穴の周りに磁気スキルミオンが生成され、それが穴の周りを回転する。このような振る舞いは最近の実験でも見出されており、我々の磁気シミュレーションの結果とよく対応している。磁気スキルミオンの運動方向とその分極は電流の方向に依存しており、これはまさに渦度ースピン結合の「非相反性」結果である。この研究結果は、流体力学とスピントロニクスとの新しい融合分野の可能性を示唆している。
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| Strategy for Future Research Activity |
固体表面を伝搬する表面弾性波(レイリー波)は回転を伴う格子振動である。そのため、磁性薄膜中を伝搬する表面弾性波は磁化の歳差運動との相互作用の結果、その伝搬に「非相反性」が現れる。これは磁気異方性と表面弾性波の回転運動の相互作用がその起源である。最近、表面弾性波の磁性薄膜研究への応用が盛んに行われるようになった。既に当研究 チームでは理論と実験の両方で、FeCoBやFeNi薄膜での表面弾性波の「非相反性」に基づく音響整流効果を提案した。電流の「非相反性」の制御はエレクトロニクスの最も基本的な現象であり、そのデバイスとしては半導体のpn接合が最もよく知られている。固体中で角運動量を持つ電流や格子振動の渦が角運動量保存則により、スピンを仲立ちとして様々なダイナミックスに「非相反性」を導くことは未解明の基本的な「問い」であり、スピントロニクスの今後の発展にとって重要な、今までに例を見ない研究である。本研究では、理論と実験の連携のもと、(i)組成が空間的に非一様な材料、所謂傾斜材料での電流渦によるスピン流の生成、(ii)様々な形状を持つ磁性体を用いた電流渦による磁気スキルミオンの生成と制御、(iii)表面弾性波の渦度により生じる非相反性を用いた磁歪定数測定手法開発、(iv)弾性体表面の周期微細加工による表面弾性波伝搬の非相反性制御、(v)磁気渦と音響渦の間のカイラル相互作用、についての研究を展開し、角運動量保存則と「非相反性」の間の普遍的関係を探究する。
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