| Project/Area Number |
24K02650
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| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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| Allocation Type | Multi-year Fund |
| Section | 一般 |
| Review Section |
Basic Section 57070:Developmental dentistry-related
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| Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
仲野 和彦 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (00379083)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 良太 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (90437385)
門田 珠実 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (10908643)
末廣 雄登 大阪大学, 大学院歯学研究科, 特任助教(常勤) (70982891)
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| Project Period (FY) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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| Budget Amount *help |
¥18,590,000 (Direct Cost: ¥14,300,000、Indirect Cost: ¥4,290,000)
Fiscal Year 2026: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2025: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,630,000 (Direct Cost: ¥5,100,000、Indirect Cost: ¥1,530,000)
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| Keywords | う蝕 / Streptococcus mutans / コラーゲン結合タンパク / 全身疾患 / IgA腎症 / ラットモデル / コラーゲン結合ドメイン / エックス線結晶構造解析 / ミュータンスレンサ球菌 / 臓器間ネットワーク / 口腔マイクロバイオーム / 微生物バイオマーカー |
| Outline of Research at the Start |
研究代表者は、菌体表層にコラーゲン結合タンパク(Collagen-binding protein; CBP)を発現するミュータンスレンサ球菌が、様々な臓器において疾患の発症に関わっている可能性があることを見出した。本研究では、複数の疾患モデル動物を用いてミュータンスレンサ球菌が関わる新たな全身疾患を探索する。また、各種全身疾患に罹患した小児患者を対象に、口腔におけるCBP陽性ミュータンスレンサ球菌の分布や家族内伝播の可能性について明らかにする。さらに、小児患者の口腔マイクロバイオームの網羅的解析を行い、治療の標的とするための微生物バイオマーカーの特定を目指す。
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| Outline of Annual Research Achievements |
う蝕の主要な原因菌であるStreptococcus mutansは、約10-20%の頻度で菌体表層にコラーゲン結合タンパク(Collagen-binding protein: CBP)を発現している。CBP陽性の S. mutans は、さまざまな全身疾患に関与することが報告されているが、その病原メカニズムは未だ明らかになっていない。本研究では、ラットモデルを用いて、CBP陽性 S. mutans と原因不明の難治性疾患であるIgA腎症との関連性について検討を行った。また、CBP陽性S. mutansが関与する全身性疾患に対する治療法の開発を目的として、CBPのコラーゲン結合領域に着目した構造解析を実施した。 IgA腎症は、腎臓の糸球体にIgAが沈着することにより、血尿や蛋白尿を呈する慢性腎疾患の一種である。本研究では、CBP陽性S. mutans、CBPをコードする遺伝子を不活化した欠失株、遺伝子を再導入した相補株、さらに組換えCBPタンパク(rCBP)をラットに頸静脈投与し、腎機能への影響を評価した。その結果、CBP陽性株、相補株、rCBPを投与したラットにおいて、糸球体メサンギウムの増殖を認め、メサンギウム領域にはCBPの存在が確認された。これらの結果から、CBPがIgA腎症の発症において重要な因子である可能性が示唆された。 CBPの構造のうち、コラーゲン結合機能を担うコラーゲン結合ドメインに着目し、結合能および熱安定性をエックス線結晶構造解析により解析した。その結果、コラーゲン結合ドメインはN1、Linker、N2、Latchの4つのドメインから構成され、LatchはN1と相互作用してβシート構造を形成していた。これらのドメインについて、ELISA法を用いてコラーゲン結合活性を検討した結果、コラーゲンへの結合にはN1、Linker、N2の3つの構成が必要であることが示唆された。さらに熱変性実験から、LinkerおよびLatchがN1およびN2の構造安定性に寄与することが明らかとなった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画として予定していた、CBP陽性S. mutans、CBPをコードする遺伝子を不活化した欠失株、同遺伝子を再導入した相補株、さらにrCBPを投与したラット頸静脈モデルを用いた実験は、概ね予定通りに実施することができた。本研究の結果、CBP陽性S. mutansが血液中に侵入することで、腎臓のメサンギウム領域においてIgAやC3の沈着を誘導し、メサンギウム細胞の増殖を引き起こすことが明らかとなった。このことから、口腔内に存在するCBP陽性S. mutansが血液中に侵入することにより、IgA腎症の発症に関与する可能性が示唆された。本研究の遂行により、慢性糸球体腎炎の中でも最も発症頻度が高く、約30-40%が末期腎不全に進行するとされるIgA腎症の病態解明に貢献し得る成果が得られたと考えられる。また、エックス線結晶構造解析により、CBP陽性S. mutansのコラーゲン結合ドメインに関する情報を取得し、本菌のコラーゲンへの結合機構を構造生命科学的に明らかにすることができた。このことは、CBP陽性S. mutansの迅速な検出法の開発、CBPを標的とした治療法の創出に寄与することが期待される。以上のことから、研究はおおむね順調に進行していると判断される。
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| Strategy for Future Research Activity |
CBP陽性のS. mutansがIgA腎症の発症に関与することが明らかになったことを受け、CBP陽性S. mutansを投与したラットの腎臓について、免疫電子顕微鏡を用いた解析を実施する。また、腎臓における遺伝子発現の変化について、RNAシーケンスにより網羅的に解析する予定である。さらに、腎臓以外でIgAを産生し免疫異常と関連する臓器である小腸や脾臓に注目し、IgA腎症にとどまらない全身性疾患に関する詳細な研究も進めていく。加えて、口腔内のCBP陽性S. mutansを減少させることが腎疾患の予防に有効である可能性があることから、慢性腎臓病患者を対象に、グルコン酸クロルヘキシジンを含む洗口液によるうがいを継続的に行ってもらい、口腔内のS. mutans菌数およびタンパク尿への影響を評価する臨床研究を計画している。また、CBP陽性S. mutansのコラーゲン結合機構については、構造生命科学的観点からより詳細な検討を行い、コラーゲン結合ドメインの特性を活かした検出法や治療法の確立に向けた研究を継続する予定である。
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